第五話 誓い
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ら有り得ん事だ」
「……」
爺さんもあれはおかしいと思ったようだ。
「イゼルローンではちと、目立ち過ぎたな。メルカッツ提督ほどではないがミュッケンベルガー元帥に目障りな奴と思われたのかもしれん」
「しかし、あのままでは損害が大きくなるだけだった」
俺が抗議すると爺さんも頷いた。
「その通りだがな、だからこそ面白くない、そう思った可能性は有るさ。お前みたいな小僧に助けられて元帥が有難がると思うか?」
「……」
それは分からないでもないが、小僧は無いだろう。
「元帥閣下はかなり焦っている様だ。前に話したことを覚えているだろう、どうやら図星の様だぜ」
「……」
前に話した事か……、爺さんの言う通りかもしれない……。思わずキルヒアイスと顔を見合わせた。
前回の第六次イゼルローン要塞攻防戦の武勲により俺と爺さんは中将に昇進した。俺は一万隻の艦隊を率いる事になり満足しているが爺さんにとっては聊か不本意な昇進になったと言って良い。先ず後方への配置転換願いは却下された。そして爺さんの率いる艦隊は五千隻、俺の半分でしかない。正規の軍事教育を受けていない所為で兵力を少なくされたのだ。
だがそれ以上に爺さんにとっては不本意な事が有る。爺さんの艦隊はミュッケンベルガーの直属部隊という事になった。分艦隊司令官では無い、俺のように独立した艦隊司令官でもない、丁度その中間の存在だ。極めて不自然な存在だ、理由としては独立した艦隊司令官として扱うには不安が有るからとなっている。ここでも兵卒上がりだという事を理由にされた。能力を信用できないという事らしい。
馬鹿げている、爺さんの実力は確かなものだ。その事はイゼルローン要塞攻防戦で分かったはずだ。少なくとも訳の分からない混戦状態を作り出したミュッケンベルガーよりもずっと上だろう。それなのに能力を信用できない等、一体何を考えているのか……。
もっとも爺さんの見方はちょっと違う。爺さんは能力云々は建前で内実はミュッケンベルガーの意志が強く働いていると見ている。前回のイゼルローン、前々回のヴァンフリート、いずれもミュッケンベルガーにとっては勝ったとはいえ不本意な結果だった。ミュッケンベルガーの司令長官としての力量に疑問符を持つ人間も多いだろうというのだ。
“ミューゼル、イゼルローンでお前さんがやった反乱軍の後方に出る作戦だが本当ならミュッケンベルガー元帥はお前さんに許可を出すんじゃなくて自分の息のかかった部下に遣らせたかったのかもしれねえよ。自分が混戦状態を打破した、そういう形にしたかったのさ。そうすれば誰も元帥の力量に不満は持たねえ”
“じゃあ爺さん、何故元帥はそれを遣らなかったんだ?”
“遣らなかったんじゃなくて出来なかったとは考えられねえか? あの作戦は危険が大きかった。反
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