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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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の、常人の神経ならば立っているだけでも上出来レベルの人外の《気》。
注意でなく、殺気。
注意でなく、絶気。
その出所は、突っ立ったままの《黒の剣士》キリトではなく、こちらを必死な表情で見るマイでもなかった。
彼らの中心にいる、血盟騎士団副団長《閃光》アスナ。
だがレンには分かった。
自らの記憶だと、彼女の瞳の色は確か綺麗なはしばみ色だったはずだ。しかし、今レンの網膜に映る目の前の生物の瞳の色。それは毒々しい黄色になっていた。
「あなたは…………、誰……?」
口を突いて出た、咄嗟の質問。
それは計算して出されたものではなくレン本心の、言わばこの場にいる全員が言いたかった言葉でもあった。
しかし、それに対しての回答は言葉ではなく、笑みだった。
普段の彼女ならば、たとえ天地がひっくり返っても浮かべなかった、嗤いの笑み。
人を見下し
人を嘲笑し
人を蔑む
そんな笑み。
陽光の中、アスナの姿をしたモノの瞳が毒々しく輝く。
『なぁんだ、つまらない。気付いちゃったのか』
その桜色の唇の間から漏れ出たのは、彼女の口調とは似ても似つかない少年のような言葉だった。しかし、声は少年らしからない。何かのフィルター越しに喋っているかのような、キンキンとした金属質な音声である。
その声に、カグラに首根っこを引っつかまれていたユイの背がびくりと震える。
それを腕力だけで己の背後、自分を盾とさせるような位置に放り込んでカグラは口を開いた。
「あなたはアスナに憑いている、と予想したのですが、それは合っていますか?」
『うん、鋭いね。それで合ってるよ。僕の名は《
狂楽
(
きょうらく
)
》。どうぞよろしくね、勇敢な人達』
どうぞよろしく、とは言っているが、その実質歩み寄りの一切を撥ね退けるような響きがその声にはあった。
顔に浮かべた、張り付いたような、引き攣ったような笑みには、やはりどこか邪悪というか悪い意味での無邪気さが混同していた。混同し、混濁していた。
ぐちゃぐちゃに。
どろどろに。
じゅるじゅるに。
混ぜ合わさっていた。
それに、沸点寸前といった体のレンは軋んだ声を発する。
「アスナねーちゃんに、何をした」
『あっはは!怒ってる?怒ってる?でもねぇ、この程度で怒ってたら、僕がこいつにしたこと知ったらどうなるんだろうねぇ?知りたいなぁ。知ってみたいなぁ〜!』
ギリ、とこぶしが砕けんばかりに握り締められた。
《冥王》と呼ばれた少年の周囲の空気の質が変わった。背後の空間が陽炎のようにぐにゃりと曲がり、心なしか身体を押す重力の大きさすらも二倍に増えたようだった。
殺ス。
そう言いかけたレンを制し
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