第十二話 〜わたしの帰る場所 -Home-【暁 Ver】
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…エリオ」
「はい」
「……キャロ」
「は、はいっ」
「私がアレのAMFを発生させている部分を破壊する。合図をしたら、攻撃。キャロはエリオのサポート。いい?」
矢継ぎ早にアスナから出される指示に、ほんの少しの違和感を憶えながらも二人とも頷首した。二人がその違和感を考える前にアスナが動き出す。アスナは普段と変わらない歩調で、巨大なガジェットへと近づきながら──── 視る。無造作に近づいてくるアスナを笑うように光学兵器が放たれた。
目も眩むほどの閃光。エリオとキャロは一瞬でも想像してしまった、アスナの無残な姿を振り払うように視界を取り戻す。二人の視線の先には、アスナが変わらず佇んでいた。アスナの周りには、六枚の盾。亀の甲羅を思わせる六角形の透明な盾は、アスナを守るようにゆっくりと旋回している。
ガジェットが何度、熱光線を放とうとも結果は変わらない。フラッターによって展開され『ボブ』によって着弾地点を計算される盾は、エリオとキャロを狙ったものでさえも瞬時に移動し、防ぎ、弾く。アスナは暫くそれらを他人事のように見ていたが、やおら腰の鞘から大型のナイフを取り出すと、ガジェットへ投げた。
投げられたナイフは寸分違わずそこへ突き刺さる。それと同時に、ぬるま湯のように空間を覆っていたAMFも霧散していった。アスナは風のようにガジェットへ近づき、ナイフを引き抜くとエリオへ合図を送った。
ストラーダを胸の高さで中段に構え、腰を落とし、全身に力を込める。それは、限界まで引き絞られた弓の如く。全身が羽ののように軽くなり、ストラーダの魔力刃が、一層の輝きを放つ。キャロがしてくれたのだと理解する。小細工など必要ない。小さき騎士の体は文字通りの──── 矢と化した。
六メートルあまりの距離をたった二歩で詰める。列車の屋根がへこむほどの勢いで踏み込むと同時。もうすっかり手に馴染んだ愛槍を翻し、ガジェットの体ど真ん中へ烈火の如く突き立てる。──── ざくり、とした感触。だが、まだ終わらない。
壊れかけのおもちゃのように、ゆるゆると動き出そうとするガジェットを視界に納めながら更に一歩踏み込む。機械の内蔵を突き破っていく感触と共にガジェットの体を更に、深く、穿つ。エリオはそこで一端目を瞑り、ふうと息を吐いた。そして──── 目を見開くと、自分の全てを込めた咆吼を上げながら、ガジェットの体を上段に切り裂いた──── 物言わぬ機械は、回路がショートする断末魔の悲鳴を上げながら──── その動きを止めた。
私はその時。何だかエリオ君が、とても凛々しくてかっこいいなどと酷く場違いな事を考えていました。わたしが帰る場所を守るために戦おう。そう決
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