第十二話 〜わたしの帰る場所 -Home-【暁 Ver】
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しい、と』
「なんや、これ……」
受付にいた警備担当からの通信に八神はやては絶句した。基本的に六課に届けられる荷物は、個人宛ではない限りNDTされる。中にあったのは血痕が認められる一枚の局員用IDカード。そのIDカードに刻まれた名前はこう、読めた──── 御堂刹那。
列車内の平々凡々とした空気を、肌がちりちりと焼きつくような空気へと変えていく。生き物であれば生存の危機を本能が訴えるほどの気迫。惜しむらくは──── 彼。いや、あるいは彼女かも知れないが。機械であるが故に理解する事は叶わなかった。だからこそ、与えられた命令を遂行することが存在意義だと言わんばかりに、そこを動くことはなかった。
「どいて。って言っても無理だよね。だけど、おまえの後ろに欲しい物があるんだ。無理にでも通させて貰う」
それはその言葉さえも、理解することは無く。唯々……レリックを守る為だけに行動を起こす。青髪の少女はそれを一瞬だけ哀れむように見て、表情を引き締めた。
距離は五メートル。青髪の少女──── スバルは拳闘士のように両腕を構えながら、距離を詰めようとした時。スバルよりも早くそれ──── ガジェットが動き出した。何の熱をも宿さない瞳でスバルを捕らえると、灼熱の閃光を放つ。だが、それはスバルの体に風穴を開ける事は叶わなかった。
ガジェットに感情という物があったなら、驚愕していたことだろう。何故ならば、スバルの右腕が既に自分の体を貫いているのだから。
マッハキャリバーが、熱い吐息を吐き出す。スバルが短く吐いた息と共に、腕を引き抜く。それにタイミングを合わせるようにマッハキャリバーの車輪が火花を散らしながら逆回転を初めると、スバルの体を後方へと運んだ。オイルの血潮と機械の内蔵を撒き散らしながら、ガジェットは創造主から与えられた命令から解放された。
「かわいそうだね」
『あれは機械です。そのような感情は無用と判断します』
スバルは頭の固い相棒に少しだけ残念そうに、微笑みながら告げる。
「今にわかるよ、おまえにも」
『……努力します』
──── スバル・ナカジマ、レリック確保。
右手と左手が別々の生き物のように、淡々と作業をこなしていく。眼球は忙しなく左右へと行き来し、思考を分割し、並列処理しながら彼女──── ティアナ・ランスターは列車の意思を取り戻すべく一人静かな戦いに身を投じていた。
「うん、何とかなりそう。サポートありがとう」
『ありがとうございます。ですが、私があなたを助けるのは当然の事です』
相も変わらず従順なパートナーに少しだけ苦笑する。
「
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