第十二話 〜わたしの帰る場所 -Home-【暁 Ver】
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ども。降下ポイントへ到着だ。準備は良いか?」
ヴァイスさんの言葉を合図にして、全員の顔が引き締まる。
「作戦内容は各自端末で確認したとおりだ。リニアに取り付いてるガジェットの掃討及び、レリックの確保。そして奪われた制御を取り戻しリニアを止める事。やり方はわかるよな? 今までおまえらがうんざりするほど座学でやったはずだ。空は心配するな、隊長二人が大暴れしてるぜ。さぁ──── 蹴散らしてこい」
『桐生、アスナ達が出る。アスナにとって、初めての本格的な実戦だ。顔色が悪いぞ、大丈夫かい?』
「……ええ、大丈夫です。おかしいですね。自分が戦うわけでもないというのに」
桐生はそう言って自分の手のひらを見つめる。じっとりと、汗までかいていた。自分の作り上げたデバイスをどれほど信頼していたとしても。アスナの強さをどれほど信じていたとしても。大切な妹が戦うという行為に慣れるわけもなかった。
『彼女達は強いよ、勿論アスナも。あのような『おもちゃ』に後れをとる事はない』
「わかってはいるんですが、ね」
桐生は煙草へと手を伸ばそうとしたが、散々逡巡した挙げ句、吸わないことに決めたようだった。
『桐生。すまないが、アスナのサポートに集中したい』
「はい、お願いします」
『アスナに何か伝える事は?』
「決して無理はしないように、と」
『了解した』
モニターの中で物言わぬオブジェとなったボブを見ながら息を吐く。人格AIに気を使われるようではどうしようもない。もしかしたら……もう二十年近く姿を見せていない『彼女』も、ハラハラしながら見ているかも知れない。無事に終わったら何かしてあげようかと考えながら、アスナを孫のように可愛がっているバークリー本家にいる岩のような執事に連絡を取るべく、桐生は工房の扉を出て行った。
アスナさんはいつもと変わらない足取りで、後部ハッチから両手を広げながら空へと歩き出しました。その姿はまるで、ダンスのステップを踏んでいるようで──── そして、わたし達へと振り返ると手をパタパタと振りながらストンと落ちていきました。
わたしが慌ててハッチへ駆け寄って下を見ると、アスナさんが螺旋階段を下るように空を駆けていきました。スバルさんのウイングロードを見た時も驚きましたが、アスナさんのあれは相変わらず不思議な光景です。
「スバルも、ほら。ウイングロードを螺旋状に展開して墜ちていけばいいじゃない」
「いやだよ、そんなアトラクション」
このお二人はいつもと全く変わりありません。
ティアさんはスバルさんに素気なく断られると肩を竦めて見せた。
「それじゃ二人とも先に行ってるわよ」
ティアさんはその
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