第十二話 〜わたしの帰る場所 -Home-【暁 Ver】
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意しても尚、『力』を使わないに越した事はない。このまま無事に、何事もなくみんなで帰る事が出来て──── 明日になれば、いつものような騒がしくも平和な時間を過ごすことが出来る。そんな甘えた事を考えていました。
だから。だからかも知れません。そんなあたしに神様が罰を与えたのかも知れません。だって──── わたしが瞬きをした次の瞬間。わたしの視界に飛び込んできたのは、動きを止めたとばかり思っていたガジェットに、したたかに打ち付けられ──── 谷底へ落ちていくエリオ君の姿でした。
桐生アスナの行動は疾かった。彼を助けるために空を駆けようとした刹那。彼女はその動きを止めざるを得なかった。キャロがエリオの名を喉が潰れんばかりに叫んでいる。それは魂が震えるような──── 慟哭。キャロの体から魔力が溢れ、それは嵐となり、やがて──── アスナが見たこともない不可思議な魔法陣を形成する。それはやがて太陽が爆発したかのような眩い光を放ち──── アスナが再び目を開けた時には、魔法陣はおろか、キャロでさえも列車の屋根から消えていた。
慌てて彼女を探すように周りを見渡しそれを見つけた時。アスナはほんの少しだけ目を見開き、惚けたように口を開けると、その場にぺたりと座り込んだ。アスナの視線の先には、なぜか自分を親しみを込めたような視線で見下ろしている──── 白銀に輝く竜がいた。
──── それは『魔法』のように予め決められたプログラムや、摂理に従った術式でもなく。ただ、大切な人を、愛しき人を助けたいという想いに彼の者が答えただけ。彼の者は決して答えない。人に失望し、組織に絶望し、人や世界を綺麗だと思えなくなり、誇りや信念すら亡くしてしまった人間には決して、彼の者は答えない。大切な者を助けたい。どんな時代でも、世界でも。その想いこそが──────『真理』なのだから。
意識を手放す瞬間、誰かの叫び声を聞いたような気がする。心を鷲掴みにされるような──── そんな声。いけない。女の子にあんな声を出させてはいけない。だから、早く目を覚まさないと。うっすらとした光と共に僕の目に飛び込んできたのは──── 鼻先に吐息すら感じられるほど近づいた、キャロの可愛らしい顔だった。その時のキャロの顔に心臓が跳ね上がったのは、内緒だ。
良かった。エリオ君が目を覚ましてくれた。私はほっと胸を撫で下ろす。でも、何だか顔が赤いし、酷く慌てている。どうしたんだろう? ちゃんと調べたから怪我はしてないと思うんだけど……。そうだ。今はやらなきゃいけない事がある。フリード、今までごめんね、もう大丈夫だよ。そして、エリオ君を助けてくれてありがとう。だから、もう少しだけ──── わたしに
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