781年・青い天馬
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
向ける。
「帰れ・・・解放する気になったら来い」
30日後。
「お願いよォ!アンタがいないと仕事が出来ないの。もうアリエスにもひどい事しないから・・・ね!戻ってきて」
カレンの必死の懇願も、レオには通用しなかった。
「嘘をつくな・・・解放してからでも話し合えるだろ・・・」
そのレオの言葉に、カレンの態度は急変した。
凄まじい音を立て、レオを蹴っていく。
「くっそぉ!とっととくたばれ!アンタが死ねばまたアリエスを呼べる!今までよりもっとこき使ってやるからな!」
これがカレンの本音だった。
星霊を『仲間』と扱うルーシィに対し、カレンは『道具』としか見ていないのだ。
自分が稼ぐ為、自分の為、自分の欲の為、生きている星霊を無下に扱う。
それからも、レオは星霊界には帰らなかった。
仲間であり、友であるアリエスの為に。
それが・・・思わぬ事態を起こすとは知らずに・・・。
そして3か月。
レオは廃墟の前に立ち、空を見上げていた。
「慣れてきたな、人間界にも・・・」
3か月もの間過ごしてきた人間界に、もう体が慣れてきていた。
「生命力が減っていくのは歯止めがきかないが・・・前よりは苦しくない・・・」
この日は、レオにも考えがあった。
笑みを浮かべ、呟く。
「あれから3か月・・・そろそろカレンを許してやろうか。アリエスがいじめられたら、僕がまた助ければいいんだし」
そう言ってレオが廃墟を出て帰ろうとした時だった。
ギルドのある街の方から、マスターボブがこっちに向かって歩いて来ている。
その姿を見たレオの頭を、嫌な予感が通り過ぎた。
「・・・っそんな!」
レオが女神像を殴る。
悲痛な、悲鳴のような声を上げながら。
ボブの口から伝えられた現実は・・・彼にとっては受け入れがたい事だった。
「私の許可もなしにあの子・・・無理に仕事を引き受けたの。3か月も仕事を出来なくて、焦っていたんでしょうね」
ボブの言葉に、レオは天使像に手を押し付けたまま両膝をつき、俯いた。
「僕は・・・僕はカレンに考え直してほしかっただけなんだ・・・星霊は、道具じゃないって・・・ちゃんと意志がある・・・心を持つ存在だって事・・・解ってほしかった・・・」
その目から、次々と大粒の涙が溢れ、落ちていく。
「こんな・・・こんな事を望んでいたんじゃない!」
レオの声が廃墟中に響き、染み込んでいく。
「カレン・・・」
そんなレオの頭には、微笑むカレンの姿が浮かんでいた。
「カレェェェェェ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ