第113話
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確にはその『剣』を中心に風を巻き起こし、海水を押し退けていく。
それをクラーケンは黙って見過ごすわけがない。
さっきよりも速い速度で麻生に突っ込んでくる。
だが。
「天の鎖よ。」
突然、クラーケンの周りから鎖が現れる。
一本、二本ではない。
何十本もの鎖がクラーケンの身体や足に巻き付き、動きを止める。
天の鎖、またの名をエレキドゥ。
「神を律する」と謳われる鎖。
伝承において神獣「天の雄牛」を捕らえた事のある鎖だ。
相手の神性が高い相手ほど制約・拘束力が高まるのだが、クラーケンには神性があるように思えない。
それなのにクラーケンは動きを封じられている。
これも麻生の能力が天の鎖を最大まで強化しているのだ。
それでも長く封じる事はできない。
神性を持たないものにとっては少々頑丈な鎖だからだ。
暴風はどんどん大きくなっていく。
やがて、クラーケンの身体を超えるほどの大きさまで台風は大きくなっていく。
つまり、クラーケンは海の中にいないという事になる。
麻生はこの状況を作る為に、被害が及ばない海の沖に向かい、さらに深海まで潜ったのだ。
『剣』を持つ左手の内側から血が噴き出す。
『剣』が放つ暴風や魔力など、人としての限界を超え、身体に影響が出ているのだ。
何よりこの『剣』は人には扱えるモノではない。
左手だけではない。
身体の至る所から血が噴き出している。
だが、治している暇はない。
治療に専念してしまえば、鎖の拘束は弱まり、海水を押し退けている暴風も弱まってしまう。
そうなってしまえば、麻生は何も出来ずに死んでしまう。
朦朧とする意識だが、それでもクラーケンを見据える。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」
クラーケンは叫ぶ。
本能が悟ったのだろう。
この一撃は自分の身体を完全に消滅させるモノだと。
渾身の力を込め、鎖の拘束から逃れ、麻生に向かって身体ごと突撃する。
しかし、その前に一つの声が聞こえた。
「天地乖離す開闢の星」
その言葉と同時に限界を超えた身体に鞭を撃ち、莫大な魔力を溜めた『剣』を突き出す。
そこから撃ち出される天地を分けた一撃を受けたクラーケンは塵一つ残すの事なく、消滅した。
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