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少年は旅行をするようです
少年は剣の世界で城を上るようです 第三層
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った。

・・・これは多分、恋とか信頼とかそういうものではなかった。手を握るくらいはしたが、それでも相手を

見る事も、それ以外の言葉をかける事も無かった。


……
………

それから暫く。

「よっしゃぁ!んじゃ行ってくるな。」

「おう、財布落とさないように気をつけろよ!」

「バーカ、リアルじゃねぇんだから落とすかよ。」


ギルド資金がギルドハウス購入の目標金額に到達したので、売りに出していたプレイヤーの元へ出発したケイタを

軽口を叩きつつ、皆で見送った。俺達はゼロになったギルド共有コルの残額を見て笑ったが、ふとテツオが

いい考えが浮かんだ、とばかりにいい笑顔をした。


「そうだ!ケイタが帰ってくるまでに迷宮区で金稼いで、家具全部揃えちまおうぜ!」

「お、いいな。あいつきっと腰抜かすぜ!」

「そりゃ構わないけど……そんなに稼ぎいい所あるか?」

「2時間弱で家具買い揃えられるくらいの稼ぎの良い場所な……。ない事も無いけど。」

「マジか!?流石キリト!」


思わず口に出してしまった情報にハッとするが後の祭り。俺が挙げたダンジョンは、27層のトラップ多発地帯だ。

黒猫団もギリギリマージンは取れているから、トラップにさえ気を付ければ大丈夫か・・・。


「んじゃ、いっちょ稼ぎに行きますか!」

「「おぉー!」」


小イベントに湧く三人だが、代わりにサチはいつも以上に怯え、俺のコートの裾をちんまりと握って来る。

此方に気付かない三人が一足先に行ったのを確認し、そのサチの手を握り返す。


「大丈夫だよ、サチ。今までよりちょっと上の層だけど、戦法も変わらない。」

「う、うん………。分かってるよ、キリト。大丈夫………。」


大丈夫と言いつつも、やはり体の震えは止まらない。俺が半歩近寄ると、サチは今にも泣きそうな目で

此方を見上げて来る。


「……安心して。君は死なない、絶対に。俺が護るから………。」

「…………うん、ありがとう。……ありがとう、キリト。」


僅かに笑うサチはもう泣いても、震えてもいなかった。安堵した俺は、サチの手を引いて三人の後を追った。

Side out


Side サチ

「せりゃぁぁああああ!!」
バシャァッ
「よーっし、こんなもんだろ!そろそろ街に戻って買い物しとかないとな。」


宿を出てから一時間くらい。家具を買う分のコルを稼いだ私達は、街に戻る事にした。

出て来たモンスターはゲームだとよく見るオークとかコボルトで、強さも今まで戦って来たモンスターと

大差なかった。やっぱり少し怖かったけど、キリトを見たら震えたりしなかった。私、
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