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少年は旅行をするようです
少年は剣の世界で城を上るようです 第三層
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の。

……………ねぇ、なんでこんな事になっちゃったの?なんでゲームから出られないの?ただのゲームなのに、

本当に死ななきゃならないの?こんな事に、なんの意味があるの?誰が得をするの………?」


・・・・・サチの吐露は、恐らくSAOプレイヤー全員が抱いた事のある疑問だろう。

『たかがゲームなのに』

しかし、その考えを放棄した人間も多い事だろう。他でもない俺がそうだ。

モンスターと戦う事に興奮し、命のやり取りをする事に快感を覚え、そして・・・・・弱い彼らを護る事に、

愉悦を感じている。問われた意味に答えられるのは茅場だけだが、得をすると言う点では、俺は得している。


「……多分、意味なんてない。誰も得なんてしないんだ。この世界が出来た時にはもう、そう言う事は

全部叶って、終わってるんだ。」


もしも・・・もしも俺が誠意の一欠片でも持ち合わせていたのなら、この時全てを打ち明けておくべきだった。

俺の抱く醜いエゴを全て曝け出せば、少なくともサチはプレッシャーから逃れられた筈だ。

だが、俺はそうしなかった。代わりに出たのは、嘘と事実が綯交ぜになった一言だった。


「……君は死なないよ。」

「なんで、そんな事が言えるの?」

「黒猫団は今のままでも十分強いギルドだ。マージンも必要以上に取ってるし、あそこにいる以上安全だよ。

………無理に剣士に転向する必要なんてないんだ。」


サチは顔を上げ、俺に縋る様な視線を向けた。俺は一瞬眼を逸らして顔を伏せたが・・・もう一度、サチと目を

合わせる。今度は、本当の想いを乗せて。


「……ほんとに?ほんとに私は死なずに済むの?いつか現実に戻れるの?」

「ああ………君は死なない。死なせない。このゲームがクリアされるその日まで。」


その薄っぺらい言葉に、それでも涙を流し『ありがとう』と、サチはそう言ってくれた。

嘘ばかりの俺だったが、これだけは俺の胸の内に約束しよう。・・・必ず、君を守る。守ってみせる。

………
……


宿に帰った俺は皆にメッセージを送り、サチを先に部屋に戻らせ皆の帰りを待った。

そして帰って来た皆(主にケイタとテツオにだが)に、剣士への転向は時間がかかる事を告げた。

可能なら・・・いや、今のまま槍使いを続けた方が良い事、俺の負担は問題ない事も伝えた。

ササマルとダッカーが最初に頷き、ケイタとテツオも頷いてくれた事に、僅かに安堵した。


それからサチは夜更けになると俺の部屋にやって来て寝るようになった。『君は死なない』と、『君を守る』と

聞ければ眠れると言っていた。必然、俺は深夜の経験値稼ぎに行けなくなったが、罪悪感が消える事はなか
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