少年は剣の世界で城を上るようです 第三層
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校の同級生と言う事もあり、
強くは言えず・・・今に至ってしまった。
―――だから、今夜。サチが宿屋から姿を消してしまったのは、俺達全員の責任なのだ。
メンバーリストからサチの居場所が確認出来ない為、一人で迷宮区に行っているものと思われた。
全員で迷宮区に行く事になったのだが、俺は頑として迷宮区以外を探すと言い張った。
表向きはフィールドにも追跡不能な場所があるからと言ったが、本当は≪索敵≫から上位派生する≪索敵≫を
習得していたからだ。だが、仲間に打ち明ける訳にはいかなかった。
何故なら・・・俺は彼らを騙していたからだ、ずっと。レベルも、情報も・・・俺の、醜い感情も。
彼らが迷宮区に駆けて行ったのを確認し、俺はサチの部屋の前で≪追跡≫を発動。視界に表示された薄緑色の
足跡を辿って行く。その行く先は皆と俺の予想に反して主街区の外れの水路へと消えていた。
中を覗き込むと、水路の縁、水音が響く暗闇に、最近手に入れた隠蔽能力付きマントを羽織って蹲っている
サチを見つけた。
「……サチ。」
「!?………き、キリト。どうしてこんな所が、わかったの?」
「えーっと、勘、かな?」
「……そっか。」
少々詰まりながら言うと、サチは薄く笑い、また俯いてしまった。
残念な事に、こういった事例に疎い俺では気の利いた言葉の一つも言って、彼女を元気づける事も出来ない。
それに―――
「………皆心配してるよ。あいつらは迷宮区の方を探しに行った。早く帰ろう。」
俺に、そんな資格は無い。当たり障りのない事だけ言って、サチを皆の所へ行かせる事しか出来ない。
しかし二分、三分と待ってもサチは一向に喋らない。
仕方なくもう一度言おうとした所で、サチの囁きが聞こえて来た。
「ねぇ、キリト。一緒にどっか逃げよ。」
「逃げるって、どこへ?………何から?」
「この街から、黒猫団の皆から、モンスターから……。SAOから。」
その言葉に俺の思考は暫く停止し、後にフル回転した。こんな状況でなければ、甘い誘いにでも聞こえただろう。
しかしこの場合考えられるのは、もっと別の・・・。
「……それは、心中しようって事?」
「ふふ、そうだね。それもいいかもね。………ううん、ごめん、嘘。死ぬ勇気があるなら、こんな街の圏内に
隠れてないよね。…………立ってないで、座ったら?」
相変わらず俯いたままのサチにどうすればいいのか分からないまま、少し間を空けて、隣りに座る。
水路の出口から見える街の明かりが、凄く遠いものの様に見える。
「私、死ぬのが怖い……。この頃、もっと怖くて……眠れない
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