Mission
Epilogue
Epilogue アンドロメダ
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はなくユリウスの血縁。正直ユリウスの死も実感できていなかったが、その人物に会えば何か変わるかもしれないと思ったのだ。
そしてノヴァは、クラン社系列の大病院で、無数の管に繋がれて生かされた眠り姫と、対面した。
「今日は髪洗う日だったんだね。いい匂いここまでするよ」
ノヴァはユースティアの髪を掬って嗅ぐ。心地よいシャンプーの香り。病院のものでこれなら、ちゃんとした美容用シャンプーを使えばもっと綺麗になる。チャンスがあれば絶対に美容用で洗ってやろう。
ノヴァは立ち上がって花瓶を探した。――あった。前に生けた花はとうに色褪せている。
「新しいお花入れてくるね。いい子で待っててね、ユースティア」
花瓶を持って病室を出る。ユースティアにはその間、いかなる変化もなかった。
病棟の廊下の水場まで来て、ノヴァは花瓶から前の花を抜き、適当に丸めて燃えるごみ箱に突っ込んだ。
手は作業を進めながら、頭は別のことに考えを致す。
――ヴェルに下された命令はあくまで彼女の「死体」を処理することだったという。損傷を隠し、せめて綺麗な姿に。
だが死体処理前の死亡確認の段になり、蘇生反応が見られた。
そのため急きょ治療が施され、今のユースティアがある。
しかし、エレンピオストップクラスの医療チームが総力を注ぎ込んでも、ユースティアを全快させることはできなかった。
そも、首を貫いて生きていた時点で奇跡だ。精霊はそれ以上の奇跡はふるまってくれなかった。
(いつまでこうしてられるんだろう。あたし、いつまでユースティアのお見舞いに行けるんだろう)
水道水の勢いを借りて花瓶の中をざっと洗う。そして、持ってきた花束の包装を一つ一つ外していき、根本をハサミで少し長めに切った。
(いつかユースティアも、ルドガーやユリウスさんみたいにいなくなるって、ちゃんと聞いてるのに)
病室に戻ったノヴァは、ユースティアのベッドサイドのテーブルに花瓶を置いた。
体だけが生きていて中身がない。今のユースティアはそういう状態だ。こうして生命維持装置に繋がれていても、完全に息絶えるのは時間の問題だと宣告されている。
(あたし、いつまでこの子を見守ってるんだろう)
こうなる前は会ったこともない少女に、ノヴァは特別な愛着を懐いていた。
理屈ではなく、ただ、感じるのだ。ユースティア・レイシィは、ノヴァがそばで守るべき少女だと。
何故そこまでするの、とヴェルに問われたことがある。ただ、そうしないといけない気がする、そうしたいんだと、答えた。
見舞い客はノヴァ以外にも訪れる。その中でも頻繁に足を運ぶのがアルヴィンだった。一度何故かを尋ねると、「妹
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