第16話「京都―決戦A」
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を筆頭にネギとアスナがそれに続く。
「……またあんたらか」
千草がつまらなそうに呟く。
「天ヶ崎千草! 明日の朝にはお前を捕らえに応援が来るぞ! 無駄な抵抗はやめて投降するがいい!!」
「ふふん、応援がなんぼのもんや。あの場所まで行きさえすれば……。――それよりも」
刹那の呼びかけにも全く動じず、彼女はむしろ面白いおもちゃを見つけたかのような顔をしてみせる。
「あんたらにもお嬢様の力の一端を見せたるわ、本山でガタガタ震えとけばよかったと後悔するで」
――お嬢様、失礼を。
小声で呟き、中指と親指をこすり合わせて弾く。いわゆる指パッチンというやつだ。
「オン」
途端にいくつもの魔方陣が生成された。
「キリ キリ ヴァジャラ オーンハック」
呪文が完成されるに伴い、魔法陣からいくつもの鬼が召喚されていく。全てが終わり、ずらりと並んだその鬼の数、約150。木乃香の膨大な魔力で、適当に、そして無造作に呼びだされた結果がこの数である。
彼女の魔力が桁外れのものであることがよくわかる。
さすがに顔を蒼くさせたネギたちに、千草は自慢げに笑う。
「あんたらはその鬼どもと遊んでてもらおうか。ま、ガキやし、殺さんよーにだけ言っとくわ。ほな」
そのまま遠ざかる背に、だが彼等は目の前の鬼たちに囲まれていて追いかけることは許されなかった。
生い茂る木々を器用に避けて、ガンツバイクで巧みに斜面を降りる。
――……そろそろ、リミットか?
傷口に当てた包帯代わりのシャツは隙間なく真っ赤に染まり、それどころか吸収しきれなくなり、時折血が滴り落ちていくサマがはっきりと見ることができた。
失血のせいで途切れそうになる意識は、幸いなことに、穴が開いている胸の激痛がひどくなってきているおかげでどうにか保つことが出来ていた。
「……!」
コントローラーにて敵位置がついに動かなくなった。やっと星人が移動を止めたらしい。なかなか縮まらなかった距離に半ば絶望しかけていた時だったのだ。そもそも森の中で、バイクが出せる速度などたかが知れている。走ったほうが速い。
それをしなかったのは体力の温存をしたかったのと、血が足りていないような状態で走ったとして、追いつけるはずがない、ということもあった。
――次で決めないと死ぬな。
あまり実感が出ないが、それは確実だろう。
「……上等だ」
乱れる呼吸をおして、気合を入れなおす意味でも呟く。
が、それが良くなかった。
意識が一瞬だけ飛び、視界が真っ暗になった。途端にタケルの体を浮遊感が包み込んだ。
「っ!!」
すぐに復活した視界に映ったのは、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ