第16話「京都―決戦A」
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ま――」
ドン
細部すら残さず、圧殺。
ドン
追撃。
ドドン
微塵の存在すら許さない。
「……」
やはり無言のタケルだが、決してあえて口を閉ざしているわけではない。ただ、話すことすら億劫になってきていたのだ。
自由がきかなくってきている手足。霞む目。衰える思考力。
虫達の鳴声にかき消されているが、じっと耳を凝らし、目を凝らせばすぐにでも気付くだろう。
「……はぁ……はぁ」
呼吸が乱れている。目の焦点が合ったり、外れたり。
しばらくジッとしていたタケルだったが、コントローラーを見て、どんどんと離れていく赤点に顔をしかめた。どうやって逃れたのか、なかなかの勢いで星人は移動していた。
「……ガンツ、バイクの転送だ」
転送されてきたバイクにノロノロと乗り込んだタケルに、命は余り残されていない。
――こええ、こええよ。
其は必死にタケルから遠ざかろうとしていた。
数ナノしかない本体さえあれば、それまでに吸い取った命をその数だけ再生できる其は全ての命を捨て、モグラになって地中に逃れていた。
いうなれば寄生の再生型、とでもタケルは分類するだろう。
――なんだよ、あいつ。あいつのほうがまるっきりバケモノじゃねえか。
数ナノしかない本体を破壊するなど、砂漠の中から一つの小さな宝石を見つけることほどにありえない作業のはずだった。
だが、タケルはそれを簡単に覆した。
まず点ではなく、面の攻撃。たしかにこれなら寄生している肉体ごと攻撃すれば問題なく潰せる。
しかし、それでもあの圧殺が一度放たれただけならば、それは其の本体を潰すには至らない。あれほどの圧壊力を持つ兵器ですら、数ナノしかない肉体を潰すのは不可能なはずなのだ。
だが、一度だけではない、何度も何度も。まるで全てを理解しているかのように執拗な攻撃だった。
もしもあと一瞬でもモグラに変身が遅れていたら、こうして逃げることすらかなわずに死んでいただろう。
――あいつ、どうやって気付いたんだ!?
大半の恐怖と僅かな苛立ちを以て地中を突き進む。
――ん?
ふと、大きな魔力を感じた。そこからいくつもの小さな魔力が生じ、群れを成している。
――しめた!!
其は少しでも大きな力を得るために、そこへと向かう。
時をほぼ同じくして、別の場所。
木乃香を連れ去ることに成功したフェイトと天ヶ崎 千草はサルの式紙に木乃香を抱えさせ、ある儀式のための祭壇の場所へ向かおうとしていた。
「待て!」
だが、そうはさせまいと追いついた一行。最も戦士として洗練されている刹那
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