第16話「京都―決戦A」
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……まいった」
苦笑。
赤点は相変わらず、一つ。そして、場所も変わらず、動いていない。
つまり――
体は動かさずに、首だけを動かし、メルビンの死体を見つめる。
「……」
音もなく、声もなく。
両断されたはずの体はゆっくりと地を這い、つながっていく。
「……ぬぬ」
立ち上がった星人は、だが、もはやメルビンではなかった。
「てめぇ、こら。いてぇじゃねえか、おう!?」
特攻服に身を包み、リーゼントをした暴走族。バイクがあったらそのまま駆け出していきそうな姿に、タケルはついついほっとしたようなため息を。
「あんだ、こら。何ため息はいてんだ、おい」
ギョ―ンと。そんな音が響き、数秒。
「……あん?」
首をかしげた暴走族の男の頭が弾け飛び、肉片を周囲に撒き散らした。首を失った体は2,3歩進み、よろよろと地面に倒れた。
とりあえず、それを見届けたタケルは穴の開いた体に鞭を打ち、どうにか立ち上がる。Xガンを敵の動かない体に何発も撃ち込み、肉片すら残らないほどに弾けるのを確認。
呟く。
「……まずい、な」
刃を伸ばしたソードを杖代わりにし、歩き出す。
このままだと、また敵が復活することを見越したのだろう。ステルス状態になり、森の中に退避して、敵を見つめる。
――復活した敵次第、か。
最初のように強ければいくら姿を消していてもこのまま居場所を見つけられるだろう。逆に、さっきのようにただの人間のような敵ならば素通りしていく確立が高い。
「……ぬぬぬ」
やはり、立ち上がった。傷は見事に消失し、その姿も先程とは完全に別人だ。
「Oh! Where is he? Shit!」
どうやら今度は外国人―欧米人のようだ。そのまま首をめぐらしながら森の中に入っていった。
「……ふう」
とりあえずは生き延びることができたことに安心し、木に背をもたれさせたタケルだがまだまだ安全になったとはいえない。
「さて、どうするか」
傷の処置……は不可能のため、考えない。一旦街に出て病院に行って、などは選択肢としてありえない。その間に、あの星人に襲撃されてGAME OVERになること請け合いだ。
かといって、応急処置の知識などタケルにはほとんどない。包帯の代わりに制服を体に巻いておくことくらいしか出来そうにない。ほんの少しだけ血が抜けにくくなるだけで、何の意味もない処置だが、これで十分だ。
要は、体からこぼれる血が致死量になる前にミッションをクリアすればいいのだ。傷は深いが幸いなことに、直接的に致命傷になるほどではない。後半日はもつだろう。
よって、最も必要なことは
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