暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.05
[1/6]

[8]前話 [1] 最後
「では、さっそく試してみましょうか。 イッセー、腕を上にかざしてみせてちょうだい」
「え? ……腕、ですか?」

 黒の翼。 異形たる姿のままに、リアス先輩がそう促す。
 悪魔を教えると。 そう告げた彼女の表情は、いかにも真剣といった様子そのもので確かに俺を見据えていた。
 突然のこと、不思議というよりも奇妙な要求に俺は困惑を隠しきれない。
 何故ですかと、そう聞く俺にリアス先輩は言葉で急かす。

「やれば分かるわ。 いいから、早く」
「その……こう、ですか?」

 いったい、なんだというのだろうか?
 戸惑いながらも言われるままに、俺は片手を、左腕を天井に向けて伸ばす。
 それを見てリアス先輩は満足したように一度頷き、そして次の行動を要求する。

「目を閉じて、そしてイメージしなさい。 あなたの思う強さを、あなたが一番強いと感じる何かを」
「強い何か……って、そんなこと突然言われても」

 そもそも、彼女のいう強さとはいったい何を指して言うのだろうか?
 圧倒的たる破壊者か、絶対的たる支配者か。
 或いは、不屈たり得る心の在り方を言うのだろうか。
 悩む俺。 強さって、なんなのさ? ぐるぐる、ぐるぐる。
 空転する思考。 なんなのさ、強さって。 ぐるぐる、ぐるぐる。
 解答に至らない頭脳がいよいよ思考に熱をあげる。
 強さ、強さ、強さ……ダメ。 ダメだ、わからない。

「別に何でも構わないのよ。 そうね、なんなら架空のヒーローなんてどうかしら。
 イッセーも男の子なら、好きな漫画のひとつだってあるのでしょう?」

 悩み続ける俺を見かねたのか、リアス先輩から一つの助言が与えられる。
 漫画。 ヒーロー。 ……そうか、それなら。
 その言葉をきっかけに空回りしていた思考回路が収束し、一つの解答を導き出す。

「空孫、悟……かな?」

 空孫 悟。 人気漫画、ドラグ・ソボールの主人公。
 脳裏に描いたヴィジョンを、俺は思いのままにつぶやいた。
 こと戦闘力という分野において彼を上回る存在はそうはいまい。

「そう、空孫 悟ね。 じゃあ、次はその人物が最も強く見える姿を想像してみなさい」

 言われて俺は瞼を閉ざし、特徴的な必殺の構えをとる悟の姿を心に描く。
 イメージしたのは独特の叫びと共に、その手からドラゴン波を解き放つ彼の姿。
 作品を代表すると言っても過言ではないであろう必殺技のひとつである。
 うん、やっぱ悟って言えばコレだよな。

「……さて、イメージは決まったかしら?
 決まったのなら、ゆっくりと腕を下ろして……そう、そのまま立ち上がって」

 深呼吸。 胸に溜めた空気を吐き、穏やかな呼吸に合わせてゆっくりと腕を下ろす。
 その後に俺はソファの上から
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ