『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.05
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詳しいことはさっぱりだが、この赤い籠手って実は凄いものなのか……。
右手の指。 人差し指がコツコツと鋼鉄の表面を叩き、金属の音を軽く鳴らす。
興味津々といった様子で赤い籠手を見つめる俺、それを見てリアス先輩はさらに言葉を続ける。
「とはいえ、大半の神器は人間社会規模でしか機能しないものばかり」
―――けれど。
リアス先輩はそう言って、言葉を一度そこで切る。
そして、一呼吸の間をおいて言葉の続きを口にする。
「けれど、中には悪魔や堕天使を脅かすほどに危険な神器も存在するのよ。
あの女にあなたが襲われたのも、その神器がそういった類のものかと警戒されたせいでしょうね」
「あの女……?」
「ええ、この女よ。 あなたにも見覚えがあるでしょう?」
リアス先輩が一枚の写真を取り出し、俺はそこに写った少女を目にする。
―――どくん。 嫌な緊張。 ざわざわと胸が騒ぐ。
思わず伸ばした右手、ひったくるように俺は写真を奪い取った。
「夕麻ちゃん……!?」
写真に写った彼女の姿に俺は声を震わせる。
あんなにも必死に捜して、それでも見つけられなかった彼女の姿が間違いなくそこにはあった。
「どうして……。 どうして、彼女の写真をリアス先輩が……?」
「この女は最近、学園の近辺で目撃された堕天使よ。
状況から察するに、おそらくとある目的を達するためにあなたに接触したのでしょうね」
「堕天使……? いや、そんなことより目的って?」
「決まっているでしょう? そう、あなたを抹殺するためよ」
―――ッ!!
背筋を走る戦慄。 彼女の目的、俺の抹殺。
突如として告げられたその言葉に、思わず青ざめ息を呑み込む。
そうだ、俺は彼女に殺された。 覚えてる、覚えているぞ。
あの日の出来事、デートの最後。 翼を持った異形に変じた彼女の姿。
腹部を貫く光、焼き付く痛覚。 失われるもの、血液、体温、生命そのもの。
―――けれど、生きている。
―――俺はまだ、こうしてここに。
不可解が俺を苛む。 死んだはず、でも生きてる。 生きている、でも死んだ。
「……なんで、俺。 死んで……殺されたはずなのに」
「ええ、確かに。 あなたは間違いなく死んでいたわ。
だからこそ、こうして私が拾ってあげたの。 救ってあげたのよ、あなたの命を」
断言される、間違いなく死んでいたと。
けれど同時に救ったと、リアス先輩は―――目の前に立つ悪魔の少女はそう言った。
「救うって、いったいどうやって……」
「これを、あなたは持っていたわよね? あの日、あなたが殺された日に」
そう言ってリアス先輩が取り出したのは一枚のチラシだった。
“あなたの願い、叶えます!!”
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