『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.05
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突き出し、烈昂の気迫と共にその技の名を咆哮した。
―――瞬間、それは音も無く現れ―――
―――声に応じて、言葉に応じて―――
―――在るべき“カタチ”に顕現する―――
感じた熱。 あまりにも突然の出来事に俺は両目を見開きその変貌を目撃した。
変わる。 変わっていく。 光に包まれた俺の左腕が本来のそれとは別の姿に。
燃えるような赤を伴い、強固なる鋼を伴い、新たな在るべき“カタチ”を得ていく。
やがて光が消え去り、俺は現れたそれの姿を目の当たりにする。
刃のように鋭く、炎のように荒々しい鋼鉄の左腕。
赤い籠手。 気が付けば、そうとしか呼べない物が俺の手に装着されていた。
「な、な、な……なんじゃこりゃあぁぁぁぁっ!!」
驚愕に叫ぶ俺。 なにコレ!? なんなのさ、コレ!?
手の甲に宝玉をはめ込んだ、まるで特撮ヒーローが装備するような赤い籠手だ。
唐突に起きた異変に俺は混乱し、取り乱す。 当然だ、なんだよコレは!?
「なんすかコレ!? なんなんすかコレって!?」
「はいはい、説明ならしてあげるわよ。 だから、落ち着いて聞いてちょうだい」
リアス先輩にたしなめられて、俺は幾許かの呼吸の後に落ち着きを取り戻す。
そして俺が落ち着いたのを確認してから、リアス先輩は現れた籠手について語りだした。
「神器。 それが、あなたの手にある物の正体よ」
「神器……」
何か。 何かが頭に引っかかった。
神器? 神器だって? その単語、どこかで聞いた気が……。
『―――恨むなら、その身に宿した神器か、或いは神でも恨んでちょうだいね』
……そうだ、彼女はそう言っていた。
どこを捜しても存在しない彼女の言葉は、たしかに神器と口にして……。
―――いや、待て。
―――おかしい、おかしいぞ。
俺自身知らずにいた神器の存在を彼女はなぜ知ってたのだろうか?
神器。 たった一言。 けれど、たしかに彼女が残した言葉。
もともと腑に落ちなかった彼女の消失、そのことに対する疑惑が此処にきて再度浮上する。
覚える戸惑い、感じる奇妙。
そんな俺の胸中など知る由もなく、続いて木場が口を開いた。
「神器っていうのは特定の人に宿る、規格外の異能を宿した道具の総称なんだ。
例えば……そうだね、人類史に名を残す偉人の多くが神器の力を持っていたと言われてるんだ」
「現在でも世界的に活躍する人なんかがいるでしょう?
あの方々の多くも……まぁ、自覚の有無はともかくとして、その身に神器を宿しているのですよ」
木場の解説を補足するように、姫島先輩が言葉を続ける。
なるほど。
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