キラーパンサーに転生
1目覚めと出逢い
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
気が付いたら、ここにいた。
と言っても、気が付いたのがいつだったのかも、ちゃんとはわからない。
キラーパンサーというか……ベビーパンサーとして生まれて、たくさんの兄弟たちと一緒に育って。
ずっとそのことに疑問も持たないで、生きてたのに。
ある時、気付いてしまった。
あれ?あたし、人間だった。
周りの兄弟たちを見て、また気付く。
あれ?ベビーパンサーだ。
……あたしも、ベビーパンサーだ。
…………ドラクエだ。
意味がわからなかった。
わからなかったけど、ずっとそれで生きてきて、気が付く前の生きてきた記憶があって。
気が付いた時にはもう、あたしはベビーパンサーであることに馴染んでしまってた。
人間だった時には考えられなかった、牙と爪で獲物を仕留める狩りをして、まだ温かい、血の滴る新鮮な肉を、臓物ってヤツも。
食べることにも、もう慣れてしまってた。
と言っても、狩りはキラーパンサーのお母さんに見守られながらごっこみたいにやってみてただけで、まだちゃんと、一人で獲物を取れたわけでは無かったけど。
ただ、あたしにはたぶん前世の、人間だった時の記憶があって。
周りはみんな、ただのキラーパンサーにベビーパンサーで。
あたしの記憶がほんとのことかどうかも、確認はできなくて。
あたしは気が付く前と同じようにベビーパンサーとして生きていく、ただそれだけのことだった。
ある時、お母さんがいなくなった。
あたしも兄弟たちもまだ小さくて、狩りはまだそんなに上手くできなくて。
あたしだって上手くできないのは同じだったけど、でも気が付いてしまったあたしは、兄弟たちよりも賢かった。
『ねーやん、ねーやん。はらへったー』
『ねーちゃ、おなか、すいた』
『おねちゃ、おかちゃは?』
『……お母さんは、わからない。お腹が空いたなら、狩りに行こう』
兄弟たちとは、一緒に生まれたはずだけど。
賢いあたしは、みんなのお姉さんみたいになって、頼られていた。
それでいいと思ってたわけじゃないけど、誰も頼れないから仕方ない。
あたし一人では狩りはできないし、他の兄弟に任せるくらいなら、あたしが仕切ったほうがずっと上手くいく。
お母さんが急にいなくなったわけは、わからなかったけど。
この辺りには他にもベビーパンサーがいるのに、キラーパンサーは見ないから。
きっと元々、キラーパンサーが子供を産むために来る場所なんだろう。
ある程度、子供たちが、あたしたちが自力で生きていけるようになったから。
だからお母さんはあたしたちを置いて、いなくなったんだ。
そんなことを兄弟たちに言って
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ