キラーパンサーに転生
1目覚めと出逢い
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もわかるわけが無いから、言わなかったけど。
その日、あたしは一人で狩り場を探していた。
実際に狩りをするのは一人では無理だけど、探すだけならぞろぞろ引き連れても邪魔になるだけだから。
それまでの狩り場で思うように獲物が取れなくなって、もっと獲物の多い、新しい狩り場を探していた。
なかなかいい場所が見付からなくて、もう少し、あとちょっと、と足を伸ばし続けているうちに、いつの間にか妙な場所に迷い込んでいて。
はじめはやけにゴツゴツした、岩場みたいな場所だと思ってたけど、違った。
自然の岩場じゃなくて、人が作った石畳で。
……これは、町だ。
人間のいる町に、入り込んでしまった。
ベビーパンサーであることに慣れすぎて、すぐに気が付かなかった。
まずい、と思った時にはもう、逃げ場が無くなっていた。
「おい!ネコがいるぞ!」
「ホントだ!でけえネコだな!」
「なんか、ブサイクなネコだな!」
ムカッ。
あたしは猫じゃなくてベビーパンサーなんだから、猫として見たらそれはちょっとおかしいだろうけど!
でも、ブサイクなんかじゃないもん!
「ガウウ……グルル……」
「おい、このネコ変な声で鳴くぞ!」
「ホントだ!声までブサイクなんだな!面白えな!」
ムカムカッ。
だから、猫じゃないから!
威嚇してるのにブサイクとか面白いとか、この子たちちょっとバカなんじゃないの!?
人間だった記憶が子供を傷付けるのをためらわせて、唸るだけで何もできずにいるうちに。
「おい、連れてこうぜ!」
「そうだな、面白えもんな!コイツで、遊ぼうぜ!」
「グルルルル……!!ガウウウウ……!!」
ちょっと、やめてよ!
この爪と牙が見えないの!?
あたしじゃなかったら、あんたたちなんか怪我どころじゃ済まないよ!?
どこまでバカなの、この子たちーー!!
攻撃できないあたしは、バカで弱い子供たちにあっさり捕まって、町の広場に連れて行かれて。
「おい!もっと鳴けよ!」
「黙ったままだと、つまんないだろ!鳴けよ、もっと!」
「グルルルル……」
あー、もー。
ほんとどうしよう、この子たち。
突っつかれたり髭と鬣を引っ張られたり、たいしたダメージじゃなくてもそれなりに痛いんだよね!
縄で繋がれてるから隙を突いて逃げるのは無理だし、痛め付けて逃げるのもしたくないというか……。
町の中でそんなことしたら、きっとあたしが殺されちゃうよね?
町に入り込んだ、危険なモンスターとして!
そんなの、やだ!!
どうすれば逃げられるか、飽きるまで待つしかないかと考えながら
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