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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第一九話
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一佐」
「おう、入れ」

 その部隊の事務所のインターホンから声をかけるのは、艶やかな黒髪を背中まで伸ばした美しい女性。制服の上からでも見て取れる豊満なスタイルは、男子職員の視線の的であるといえるし、事実ここに来るまでに何度もチラチラ見られている。とはいえ本人は慣れたものなのか、気にする様子を見せないまま姿勢を乱さずに歩いてきた。

「んで、何の用だ?手短にすませて出てって欲しいんだが」
「忙しいんですか?珍しい」
「ああ忙しい。我ながらここまで始末書ためるんじゃなかったぜクソが」

 そんな荒くれ者を束ねるのは、言わずと知れた危険人物、フレディ=アイン=クロイツ。答えながらもその手は全く止まらない。ノンストップで、かつとてつもないスピードで書類を片付けていく。

「そんなクソ忙しい中、さらに面倒くさい指令が本局から下りましたよ」
「……アァ?ジジイ共は俺を忙殺する気かよ……で、何だって?」
「『危険なロストロギアの情報を確認、至急部長室まで向かわれたし』とのことです」

 そう言ってフレディは手を止めずに、反対の手でデスクに置いた酒瓶を煽りながら呟く。

「ふーん……俺に当てるとは、とうとう上層部の手に負えなくなったってわけか。わかった」
「……え?」

 応と答えた彼が意外だったのか秘書は一瞬呆気にとられた。その隙に抱き寄せ、酒臭い吐息を匂わせながら囁くように告げる。

「行ってきてやるから、一発ヤらせろ」
「相変わらずですか……やれやれ、しょうがないですね。どこで?」
「ここでやる以外ありえない」

 この男、今更な話だがとことんまでクズである。ゲスである。クソ野郎である。呆れたリーゼ姉妹が呼びに来るまで、秘書を貫きながらサーチャーを活用して仕事を片付けていたフレディであった。



「主にお子様がいるご家庭がお買い上げになるリコーダーや、そのメンテナンス用品はこちらになります。取り外して水洗いが可能ですが、繋ぎっぱなしにしていると固まって取り外しにくくなるので、この展示品は定期的に分解して手入れをお願いします」
「電子キーボードなどはこちらにおいてあります。電子ドラムと並んでお客様がよく触られるものになるので、これらはできるだけまめに点検をお願いします」

 客足が遠のいても竜二と矢吹の仕事は終わらない。普段ならゆっくりと楽器の整備をしているのだが、秘書に言われた書類と店の事務処理をとりあえず片付けたらしい店長にレジを任せ、勤務している女性店員になった秘書たちを教育していた。

「しかし、こんなに長くやれるとは思っていなかったな……。あ、そうそう、ナカジマ君。これが例の書類だ」
「拝見します。……確かに。私は報告のため一旦本局に戻りますが、くれぐれも彼女たちに余計なことはしないよ
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