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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
12人目の天然道士
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ただけでも傷口は広くなるだろう。視界が赤くなって前が良く見えない。眼をこすってぼやける視界をなんとか回復させようとし、途中で自分がひどく息苦しい事に気付く。だが、そんなことはどうでもいい。
「っ・・・ぽんず・・・はっ・・・どこ?・・・ぽんずぅ・・・」
絶え絶えになった息から絞り出すように声帯を強引に動かす。
あのよくできた飼い猫は、自分が呼べば返事を返して足元に寄ってくるのだ。友達だってそんなぽんずを羨ましそうに見ていた。
家族なのだ。都会に引っ越して仕事して、自分の仕事が何の役に立ってるかも良く分からない生活の中で、ぽんずは心の支えだった。この世界に来たばかりの頃だって、ふとよぎる不安を紛らわすように撫でまわしたぽんずは嫌がりもせずずっと身を委ねてくれた。
家族なんだ。かけがえのない存在なんだ。私の生き甲斐とも言える、愛しい愛しい子なんだ。もふもふして、従順で、でも私を強く励ましてくれる、かけがえのない―――
探すように手を砂浜に這わせるうちに、手に生暖かい液体が多く染み込んだ砂を感じた。次第に戻る視力も頼りにそちらに体を這わせ、とうとう手に掴んだ。ぽんずを。ぽんずの―――
「ぽんず・・・あなた、どうして後ろ足が無いの?しっぽもない。お尻もない。残ってるの、体の半分だけじゃない。その身体からはみ出てるピンクのそれは、何。どうして血が止まってないの。どうして、どうして―――返事を返さないのかな?」
ぽんずからの返事は無い。普段ならしっぽをうねらせ返事を返すのに。
「・・・すまない」
「ねえ、ぽんず。謝るよ。私が死んで困るのはぽんんずだよ。もう変なこと言わないし、自分の命も大切にするよ。覚えてる?ノイローゼになって死のうかな、って呟いた私の膝に圧し掛かって来たの。あの時ぽんずに留められなかったら、自分で死んでたかもしれないよ」
ぽんずからの返事は無い。普段なら寝ていても起き上ってくれるのに。
「鳳苗。その猫はもう・・・」
「もうわがまま言わないよ。逃げないよ。皆にも謝るし、お父さんとお母さんに魔法の事も正直に話すよ。なのはチャンをからかったのだって謝るし、いつもよりもいい餌買ってあげる。首輪も古くなってたから新しくするし、今日の夜はいつもより念入りにブラッシングしてあげる」
ぽんずからの返事は―――無い。
「・・・何で?私が悪かったの?開き直って勝手に死のうとしたのがそんなにいけなかったの?いやだよ・・・返事してよ!ねえ、ぽんず!!したいこと全部してあげるよ!?一生自分の命を粗末にしない!やったことからも逃げないから!いつもみたいに鳴いて返事してよぉ・・・!!いやだぁ・・・いやだぁ・・・・・・!!」
ぽんずの虚ろな目は、ついぞ光を灯すこと
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