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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
12人目の天然道士
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んでいると解釈した結果投げかけた言葉だろう。では敵とは?闇の書の敵とは何だ?

「誰でもいい。主に関わった者ならば・・・」
「酷い通り魔だ。私は殺さないの?」
「お前には恩がある」
「・・・意味が分からない」

苗は闇の書と初めて出会った。恨まれる理由こそあれ、恩などあるはずもない無い。

「お前は運命を改変した。我が主の御心はこの世界では絶望に染まっていない」
「そうだね」
「だから、私はそれ以上主の絶望の嘆きを聞き続けることは無くなった。主の絶望は僕として無かったことにはしないが、お前の改変で主はそれ以上絶望を感じる必要はなくなった。お前は主を救ったのだ・・・これを恩と言わずしてなんという?」
「―――」

絶句した。彼女が言ってるのはとどのつまり安楽死である。これ以上終わらない苦しみを抱き続けるならいっそ死んでしまった方がその人のためだと、彼女は「主を楽にしてくれてありがとう」と言っているのだ。
分からない。私には分からない。分からない奴の言う事なんて、わからなくてもいいか。

「だから、恩には報いる。お前が死にたいと願うならば、黄泉路への案内を仕ろう」
「・・・私は、―――いいや。死んでも、困ることないし」

さっき自分でそう思った。それを曲げたくなくて、私はそう自分に言い聞かせるように呟いた。ふと、八神家や自分の家族、友人の顔が脳裏を横切った。でもそれだけだ。皆どうせ・・・私が死んだって困りはしないんだろうし。

「そうか。ならば、せめて苦しまぬよう脳髄を破壊しよう」

彼女の指が指し示す先に顕現した血染めのように赤い短剣を、私は無感動に見つめた。


その時の私は、子供特有の自分勝手さに支配されていたんだろう。

本気で自分が死んでも困る存在はいないと思い込んでいたのだ。

だからその馬鹿な勘違いのつけを、こんな皮肉な形で払わされることになった。





―――いるではないか。自分が餌をやって、毛づくろいして、可愛がっていた一匹のパートナーが。

「まーお!!」

「何!?しまっ・・・」
「えっ・・・だ、駄目!来ちゃダメ―――」

その時のぽんずは、明らかに私を庇うように飛び上がり、魔力で形成された短剣をその身に受けた。既に射出されていた剣は停止させることなど出来るはずもなく、吸い込まれるようにぽんずの身体を――――





気持ちが悪い。大地がぐねぐねと波打っているような心地の悪さに顔を顰め、体を起こす。少しの間失神していたようだ。額をおさえるとどろりとした鉄臭い液体が流れ落ちていた。遅れてこめかみの近くに生け花の剣山を押し当てられたような鋭い痛みがずぐりと頭を刺す。

どうやらあのダガーが頭部を掠ったようだ。あれだけ鋭利な刃物なら、掠っ
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