第111話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
奇妙だと、上条は旗艦の通路を走りながら思った。
ビオージアが謎の影に攫われてから、氷の鎧が一切出てこなくなった。
何か仕掛けているのかと思ったが、上条の右手は異能に対しては絶対の効果を持っている。
放置している方が危ないので、迎撃に向かうのが当然だろう。
現にビオージア自ら、上条の相手をしようとしていた。
(ともかく、インデックス達と合流しないと。
でも、一体どこを目指せば・・・・)
適当に通路を走りながら考えていた時だった。
旗艦が大きく横に揺れる。
いきなりの震動にバランスを崩した上条は、咄嗟に右手を氷の床の上に置いてバランスを取る。
「あ。」
そう呟いた時には遅かった。
幻想殺しに反応した氷の床は正方形に切り取られる。
そのまま、真下に落下していく。
「うおおおおおお!!!!!」
さっきと似たような状況に陥った経験があったからなのか、今度はうまく受け身を取る事ができて、身体の痛みはさっきと比べて比較的にマシだった。
一応、身体に異常はないか調べながら周りを見渡す。
すると、目の前に両開きの扉があった。
よく確認すると、上条のいる所はホールのような広い部屋だった。
如何にも、ここは大事な部屋ですよ、と言わんばかりの作りだった。
(ここにアニェーゼが。)
目の前の扉に触れる。
すると、扉は正方形に切り取られ、上条は中に入る。
中は一辺が二〇メートルに近い正方形のような部屋だった。
実際は違い、四方の壁はほんのわずかに内側に傾いている。
立方体ではなく、四角錐なのだ。
その部屋の中央には、氷の球体があり、その前にはインデックスとオルソラ、そしてアニェーゼがいた。
上条がやってきたのを見て、アニェーゼは信じられないような表情をしている。
「な、何であなたまで来たんですか!?
私はあなた達に「法の書」の一件で、何をしたのか知っているでしょう!?
それなのに、どうして!?」
その言葉は上条だけでなく、オルソラやインデックス達にも向けた言葉なのだろう。
上条は頭をかきながら答えた。
「どうして、って言われてもな。
ルチアやアンジェレネがお前を助けたいって言ったから手伝いたいって思ったし、何よりお前はあの時、俺とオルソラを逃がしてくれただろう。
そんな奴を見捨てる事なんてできない。」
「私も同じでございますよ。
ルチアさんやアンジェレネさんは自分達が安全な所にいるにも拘わらず、それでも貴女様を助けると言いました。
また、皆で笑いたいとおっしゃっていたのでございますよ。
だから、そんな彼女達の思いを叶えたいと思ったのでございます。」
「私も同じかな。
手を差し伸べる事ができるのなら、私はできるだけ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ