マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
―《剣帝》―
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ながら螢は言った。
「やっぱり姉さんに人殺しは向いてないよ。俺を本当に殺す気ならちゃんと急所を狙わないと」
「………………」
「姉さん、昔、たくさん守ってくれてありがとう。そこで待ってて。今度は俺達が守るから」
動けない姉を病院のエントランス前まで運び、杖を片手に振り返る。
そこには異質な雰囲気の4人と50人以上の仮面黒服集団が居た。
「流石は水城の元・天才児ですね。まさか本当に七武神の一角を討ち取るとは……」
「《大黒天》か?」
「ほぅ!情報通ですな。いかにも私は大黒天の称号を賜りし者。ちなみに左右の4人は右から《蛭子》、《福禄寿》、《寿老人》、《布袋》でございます」
なぜか嬉々とした様子でそれぞれの名を明かす大黒天に一同は不快感を示しているが、仮面の下に怒りを隠し、憮然としている。
「ご紹介どうも。……悪いが今は立て込んでいる。日を改めてまた来てくれないか?」
「無理ですねぇ〜。私達の任務は貴方と桜さんの首を持って帰る事ですから。回りくどい事は無しですよ?貴方を殺して後ろの桜さんの命も頂く。これは決定事項です」
「いや、だめだ。―――悪い事は言わん、帰れ」
「はい?何を言って―――!?」
僅かに声を荒くした大黒天の声を掻き消すようなローター音が近づいてきた。型はごく普通のものだが、そこに描かれた図柄はソレが何なのかを雄弁に物語っていた。
まず目を引くのは底に描かれた国旗。ユニオンジャックと呼ばれるその国旗は歴史と伝統の国、イギリスのものだ。
そして側面に大きく黄色地に花のふち飾りと2重のトレスの中にライオンが後脚で立ち上がった図。すなわち、『女王旗』。これを賜った日本人は歴史上、ただ一人。
「―――剣帝、だと?ばかな……」
大黒天が作っていた口調を崩しているのも気がつかず、呟く。高度を落としつつあるヘリのドアが突然開き、人が1人飛び降りてきた。
何処にでも居そうな穏和そうな顔立ちだがその体躯は2メートルを誇り、極限まで鍛え上げられていることを彼は知っていた。
「―――相変わらず湿気が多いな、日本は」
低く迫力のある声。反射的にひれ伏してしまいそうになる圧倒的存在感。
一部で『最強生命体』と呼ばれる男――水城悠斗。
「さて、山東の子犬達。引くか?――それとも僕と戦うかい?」
同時刻。
日本各地の戦線で山東勢が撤退開始。捕虜は地元の警察に引き渡された。掃討戦を行わなかった水城勢も再び各地に散り、僅か2時間のテロは収拾した。
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