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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
外伝・閑話
外伝・閑話1話 水精霊に憧れて
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の事は、夢だったのだろうか?)

 そんな疑問が、僕の頭の中を駆け巡った。冷静に考えれば、このような事があるはずが無い。

(しかし最後の女性が、夢の産物とは少し惜しいような気もする)

 そんな事を一度考えてから、冷静に現状を分析し始めた。

(きっと山道で倒れた所で、夢を見たに違いない) 

 それならば、山道で倒れていた僕を運び介抱してくれた人が居るはずだ。先ずはその人にお礼を言わなければいけない。

 僕は知らない天井を見ながら、そんな事を考えていた。

 すると部屋のドアが開き、1人の女性が入って来た。僕はその姿に見覚えがあった。夢に出てきた女性だ。

「あら? ようやく目が覚めたのね」

「ああ。君が助けてくれたのか?」

 なんとかそう返答したものの、内心ではかなり焦っていた。

(あれは夢じゃなかったのか? いや、ひょっとしたら気絶する寸前に、彼女の姿を見ただけなのかもしれない。それで、夢に出てきて……)

「そうよ。ラグドリアン湖で溺れている貴方を、岸まで引っ張り上げたんだから。私1人だったから大変だったのよ。そもそも湖に落ちる可能性があるのに、あんな恰好しているなんて自殺行為なのよ」

(ラグドリアン湖? 聞いた事がないな……。いや、それ以前にここは何処だよ。あの時の事は、夢じゃなかったのか? それともまだ夢の中なのか?)

 僕は訳が分からず、首を傾げてしまった。そんな僕に女性は違和感を感じた様だ。

「ちょっと、本当に大丈夫なの? まさか記憶喪失とか言わないよね?」

「それは大丈夫。でも……少し混乱している」

 女性は僕の返答に「そう」と、言ってから黙ってしまった。どうやら僕が話し始めるのを、待ってくれているみたいだ。この心遣いは、今の僕にはとても嬉しい。

「ありがとう。でも僕にも良く分からないんだ。山道を歩いていたハズなのに、霧が出たと思ったらいきなり水中に投げ出されて……」

 女性は僕の説明に、首を傾げていた。

「あなた……、貴族なの?」

(貴族? なんでそうなるんだ?)

 僕が不思議に思っていると、女性は近くに畳んであった服を広げた。

 僕が防寒の為に着ていたダウンジャケットだ。良く見ると、僕の荷物は全てこの部屋にある様だ。

「この服の縫い目は、信じられないくらい細かくて均一よ。布地の原料は分からないけど、手触りから凄く上等な物だと分かる。これ程の物となると、かなり裕福な貴族でも無ければ手に入らないわ」

(こんな物ちょっと頑張ってバイトすれば、買える様な代物なのに……。それに貴族? 今の時代では特権を無くして、伝統と先祖伝来の土地を守る為に生きている人達だよな? 基本的に生活は厳しいと聞いているが……)


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