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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
外伝・閑話
外伝・閑話1話 水精霊に憧れて
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、今はそれどころではない。視界の端に、ゴブリンが追いついて来ているのが見えたのだ。

(この子だけは、死なせない)

 私はディーネに覆いかぶさった。自分の体を盾にすれば……

(もう救援は目の前だ。それまで、絶対ディーネだけは傷つけさせない)

 振り下ろされるゴブリンの凶刃。激痛に意識が飛びそうになるが、それを何とかつなぎ止める。しかしそこに、数匹のゴブリンが加わった。次々に振り上げ振り下ろされる刃。その度に、赤い飛沫が舞った。それでも、私はディーネを抱く力をゆるめない。

「お母さん!?」

 ディーネの体が、赤くて生温かい物で濡れて行く。

「お母さん!! お母さん!!」

 ディーネが必死に叫ぶが、私に答える余裕はない。

(ごめんね。ディーネ)



−−−−SIDE ミレーヌ END −−−−



−−−−SIDE ディーネ −−−−



 お母さんが返事をしてくれない。必死に叫ぶけど声が届かない。

 次の瞬間、周りのゴブリンが何かに吹き飛ばされた。そして、三つの何かが場を通り抜けた。その瞬間、空から影が舞い降りた。それは、剣を持った3人の人間だった。ゴブリンは、次々に剣士達の手で斬り倒されて逝く。

 やがて悲鳴が収まり、その場が静かになった。

「護衛と種を処理する班に別れろ!! 街道を呑まれる訳には行かないぞ!!」

 誰かの声が聞こえたが、私はそれどころじゃない。

「お母さん!!」

「生きている子供が居るのか!?」

 男の人が来て、お母さんを横に移し私を助け起こしてくれた。

「お母さん!! お母さん!!」

「……あぁ」

 お母さんの口から声にならない声が漏れた。

「生きてる!!《治癒》だ!!」

 グリフォンに乗っていた1人が、降りてこちらに駆け寄って来る。

「こ の子を……お 願い し……」

「喋るな!! 早く!!」

 グリフォンから降りた人が、呪文(ルーン)を唱えながら最後の距離を詰め……お母さんに触った瞬間、呪文を唱えるのを止めてしまいました。そして目を閉じ、首を僅かに横に振る。

「くそぅ!!」

 私を助け起こした人が、悔しそうに地面を叩いた。

 今のお母さんを見て何となく理解した。

 お母さんはもう動かない。お母さんはもう喋ってくれない。お母さんはもう抱きしめてくれない。お母さんはもう笑ってくれない。お母さんはもう……

「いやぁぁーーーーーー!!」

 私は気付いたら、お母さんに抱きつき泣いていた。

 その後如何なったかは、よく覚えていない。



 次に目を覚ました時、私は馬車の中に居た。

「目が覚めたか?」

 私に話しか
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