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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
外伝・閑話
外伝・閑話1話 水精霊に憧れて
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地に向かう羽目になった。

 今は山頂にある村を目指して山道を歩いている。山道と言うには整備されていて、遊歩道のそれに近い。一本道で道に迷う心配も無い。しかし……。

「荷物が重いし、何より……寒い」

 先程から人を全く見かけないのは、恐らくこの寒さが原因だろう。僕もかなりの厚着をしているが、服の隙間から入って来る冷気に、つい身を震わせてしまう。地元の人の話では、「今日はかなり寒いが、天候の心配は無い」と言っていたので、雪や雨の心配は無いだろう。

(まあ、この状況で少しでも濡れたら、凍死コース一直線なので助かる)

 そんな大げさ?な事を考えながら、僕は山頂の村を目指し歩いて行く。

 暫く歩くと、周り様子が変な事に気付いた。

「……霧? でも、何か……変だ」

 そう感じたのは、むしろ当然と言って良いだろう。霧の発生の仕方が兎に角変なのだ。普通霧は、突然現れる様な物では無い。しかしこの霧は、曇りガラスのメガネをかけたかの様に一瞬で現れたのだ。既に発生していたのなら、前を向いて歩いていた以上気付かない訳が無い。

 そして霧の所為で服が湿って行く。今は霧の中に居る所為か、寒さは感じないが……。

(勘弁してくれよ。霧が晴れたら、元の気温に逆戻りだろ。凍死しちゃうよ)

 この時僕は、事態の深刻さに気付いていなかった。

 霧はどんどん濃くなり、とうとう視界がゼロになった。

 僕は一度立ち止まる。転んでケガをしては、つまらないからだ。服はずぶ濡れになり軽く絞るだけで、水が落ちて来るような状況だ。

(まさか……、この一本道で遭難は恥ずかしいな……)

 僕は自分に冗談を言うように、心の中で呟く。その時、頬に僅かな空気の流れを感じた。

(風が出て来た? なら、霧はすぐに晴れるはず……)

 予想通り暫く待つと、霧が少しずつ薄くなってきた。

 この状況に、僕は少しホッとした。

(ちょうど中間地点位か? ずぶ濡れの服では、元の気温は流石にキツイな。……如何しようか?)

 今後について考え始めた時、それは起こった。突然の浮遊感が、僕の体を襲ったのだ。

(嘘だろ!! 僕は地面の上にいたはずなのに……)

 ドボーーーーーーン!!

 僕は何時の間にか、水の中に落ちていた。

 最悪な事に、防寒対策の厚着が仇となり上手く泳げない。

 その上この状況に、パニックを起こしてしまった。

 後はもう溺れるだけだ。

 やがて力尽き、身体が水中に沈んで行く。

 意識が闇に閉ざされるその時、僕の目の前に美しい女性が見えた。僕にはその女性が、憧れていた水の精霊(ウンディーネ)に見えた。



 僕はベットの上で目を覚ました。

(先程まで
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