GGO編ーファントム・バレット編ー
60.死の正体
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の声が空気の流れを振動させる。
「それは、俺が一番、思っていることだ」
再び、赤い幻影が伸びる。今度は二つ。漆黒の刃でそれを弾き飛ばす。
こいつの早撃ち技術のその正確さは、この世界でもトップクラスの能力であろう。
(それなら......)
地面を蹴り上げ、一気に距離を詰める。そして片手剣から槍へと変更し、右手から左手に入れ替えようとした瞬間、微かにやつの仮面越しから笑みがこぼれた感覚がした。
「しまっ......」
宙を浮く暗剣を右手で掴み直そうとし、微かに指が触れた一瞬、赤いラインが伸びる。それと同時に目の前の暗剣が砕け散った。
続けて赤いラインが伸びる。だが、暗剣を破壊された今、俺は弾丸を防ぐ手段はない。左手のデザートイーグルで防げばそっちも破壊されかねない。弾丸は俺の胸を貫く。
「ぐはぁっ!!」
胸の激痛とともに再び地面へと倒れこむ。
強い。
こいつは、《死銃》アバターに宿る元《ラフィア・コフィン》の幹部プレイヤーは、あの討伐の時では俺の剣が見えず、苦労もせずにHPを半減させ、戦線を退かせたはずだ。
だが、この男は、俺への復讐心のエネルギーで、技を磨いた。
俺も《ヴォーパル・ストライク》のような単発なら再現はできるが、連続攻撃となると極めて困難だ。そしてやつはもう、大技を繰り出させる隙を一切見せないだろう。
攻撃を回避するも徐々に減少する。ゲージは残り三割を切る。
しかし、このまま敗れることは許されない。やつの黒い銃はシノンを撃てる射程圏内に入っている。俺が倒れれば、死銃はシノンを襲う。いくらシュウといえどシノンを守りながら二人と戦うことは不可能だ。
一瞬。ほんの一瞬でいい。
このラッシュを、一瞬ブレイクできれば。
キュキュキュン、と唸った三連技のラストが右頬を切り裂き、HPゲージがついに赤く染まる。
赤ーー。《ラフコフ》のエストック使いも、アイカラーを赤くしていた。記憶が激しく軋む。
そうだ......、俺は確かに、こいつの名を聞くのを拒否した。二度と関わりたくないと思った。あの狂気と鮮血、悲鳴と怨嗟に彩られた夜を、一秒でも早く忘れたかった。
でも、そんなことできるはずがなかった。
俺は全てを忘れたのではない。忘れたふりをした、自分自身を騙しただけ。
死銃のエストックの冷光が、忘れようとしていた記憶の断片を蘇らす。
討伐隊が出発する直前の最後のミーティング。《ラフィア・コフィン》の幹部と首領たる《PoH》の武装とスキルと外見と名前。
幹部の中にはイメージカラーを固定している奴が二人いるという話になった。一人は、黒。毒とナイフを好んで用いる男で、名前は......そう、《ジョニー・ブラック》だ。クラインが俺とシュウに向
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