第108話
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あげて、倒れたアンジェレネに駆け寄る。
その光景を見たシスター達の動きがわずかに揺らぐが、それでも任務と立場を思い出したのか、それぞれが武器を構え直そうとする。
「ったく、心の底からつっまんねぇモンをこの俺に見せんじゃねえのよ!!」
よその船から木の橋を作って飛び乗ってきた建宮と天草式の面々が、アンジェレネとシスター達の間に壁となって塞いだ。
彼はポケットの中から紙束を取り出すと、それをまとめてルチアに投げ渡して言った。
「脱出用の上下艦ってヤツよ。
まともな設備もないが敵地の真ん中よりゃマシだろ。
一隻だけで使うな。
火船を周囲にばら撒いて探査をごまかすだけで撃沈率は格段に下がんのよ!!」
駆け寄ったルチアは紙束を袖へ仕舞う。
建宮はそう言ったが、簡単にこの札を使わせてくれるほどアニェーゼ部隊の戦力・思考は共に甘くない。
気を焦って上下艦を出しても、集中攻撃によって沈められてしまう危険もある。
しかし、今はそれどころではない。
数字の上の勝算よりも、もっと重視しなくてはならない事がある。
ルチアはアンジェレネの前で屈み込む。
ぐったりとした彼女の手を取るルチアに、アンジェレネは薄く笑った。
「シスター・ルチア。
手が、震えてますよ。」
「当たり前でしょう!!」
「や、だな。
こんな所で、死ぬはずがないのに・・・・みんなで、帰るんです、よね。
シスター・アニェーゼも、私達も、そして、あそこで戦っている人達も、本当の意味で、みんな一緒に。」
アンジェレネは一言一言を噛み砕くように言った。
ギチギチ、と隣接する船の砲が軋んだ音を立てて照準を合わせる。
第三波の準備が整えられていく。
それでも、ルチアはアンジェレネから視線を外さない。
「だったら、私は、死にません。
それを約束してくれるのなら、絶対に、私も、貫きます。
だから、お願いします、シスター・ルチア。
敵とか味方とか、そういうんじゃ、ないんです。
もっと単純に、みんなを守る為に、一緒に戦ってくれませんか?」
ルチアは奥歯を噛みしめ、そして真っ直ぐアンジェレネを眼を見て言う。
「はい、約束します。
皆を守る為に、戦います。」
船の砲が完璧に照準を合わせ、砲弾を撃とうとした時だった。
その艦隊を数発の魔弾が貫通する。
貫通した艦隊は、凄まじい爆音を起こし、海に沈んでいく。
その光景をその場にいた、全員が唖然と見つめている。
艦隊の後ろには漆黒の服で身を包んだ、麻生が空に浮いていた。
麻生はそのまま上条達がいる甲板に移動する。
着地した瞬間、麻生を中心に衝撃波が発生して、シスター達だけがその衝撃波を受けて、海に投げ飛ばされる。
「ギリギリ、間に合ったみたいだ
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