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とある星の力を使いし者
第108話
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アンナは答える。

「此処より沖の海で戦っている。」

「なるほどな。
 こりゃあ、挨拶に行かないと失礼だよな。」

革の手袋に手を入れながらディーズは楽しそうな顔を浮かべる。
そのまま海に足を入れようとしたところを、フレアが止める。

「待ちなさい。
 貴方が海に入れば、大変な事になるでしょう。
 北極と南極の氷を溶かすつもりですか?」

「そうなったらそうなったで下等生物を絶滅させれるだろう。」

「私が言いたいのは抑止力のことについて話しているのです。」

フレアの抑止力、という言葉を聞いて動きを止める。

「あれがどうなっているのかまだ教皇様でも分かりません。
 その為に私達はあの場所に行き、調査をしたのです。
 だからこそ、事を慎重に運ばないといけません。」

ディーズは舌打ちをすると、海面から少し離れつつもフレアに聞く。

「だが、どうする?
 このまま見過ごすのか?」

振り替えると、フレアは腰の後ろに手を回すと、一つの巻物を取り出した。
その本は人間の皮で出来た一冊の魔導書だった。
名をルルイエ異本と呼ばれている。
その本に魔力を込めながら、笑みを浮かべて言う。

「誰が見逃すと言いましたか?
 ようは、抑止力を発動させなければいいのですよ。」

いあ るるいえ くとぅるう ふたぐん いあ いあ

常人には聞き取れない呪文だが、その場にいた三人にははっきりと聞こえた。
そして、その意味も。
ディーズはその呪文を聞いて、少し驚いた顔をしている。

「テメェ、俺に海に入るな、とか言いながらテメェはクトゥルー様を召喚するつもりか?
 あれを召喚したら抑止力もクソもねぇぞ。」

「分かっていますよ。
 あの呪文を触媒にして別のモノを召喚します。
 あくまで、あの呪文はそのモノを強化するための呪文ですよ。」

怪しげな魔力が周囲に漂う。
フレアは巻物を広げると、その巻物の中から何かが海に向かって飛び出した。
その影は沖に向かって移動して見えなくなった。

「さて、どうなるか楽しみではありますが、先に教皇様に報告しましょう。
 それから行動しても遅くはありません。」







場面は元に戻り『女王艦隊』。
『女王艦隊』の旗艦に向かおうとした上条達だったが、数十人のシスター達が立ち塞がった。
ルチアやアンジェレネと同じく、黒を基調とした修道服に黄色の袖やスカートを取り付けた、この艦隊の労働者達。
そして、アニェーゼ部隊の人達の筈だ。
おそらく上条達が何のためにここへ戻ってきたのかを知っていながら、シスター達は一言も言葉を交わさず武器を突きつけた。

「アニェーゼがどうなるか分かってんだろ。
 それでも協力する気はね
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