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第二十二話 狂戦士
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――約束だ」

ひどく優しい言葉。
その言葉にようやく決心したのか、約束ですよ、と小さく呟くとキリトのコートから手を離した。

そう…これでいい。

キリトは心の中でそう呟いた。
巻き込む訳にはいかない。
キリトの苦渋の決断だった。

シリカはキリトから少し離れた所で、クリスタルを掲げる。
そして、転移と叫ぶと戦場から姿を消した。

最後にシリカはどんな表情をしていただろうか。
彼女の表情はちょうど死角になり、キリトには見る事が出来なかった。

だが、彼女と約束をしてしまった。
またチーズケーキを一緒に食べようと。

そのためには目の前の敵を何とか突破するより他にない。

キリトは覚悟を決めた。
大きく息を吐くと、目の前のセイバーと影を交互に見る。

「……セイバー」
「――――キリト、守らなければいけない約束が出来ましたね」

先程の会話が聞こえていたのか、セイバーがキリトへ背を向けながらそう言う。
キリトはその言葉に、声こそ出さなかったがゆっくり頷いた。

視線を、向こうにいる存在へと向ける。

「……奴はおそらくバーサーカーのサーヴァントです。下手なフェイントや攻撃は命取りになるでしょう。キリトはそこで…」

セイバーはキリトへ忠告を促す。

セイバーにはあの存在がどのようなモノなのか既に看破していたようだ。

――――――バーサーカー。

その脅威についてはキリトもセイバーから聞いている。

ただ破壊にのみ特化したクラスで、他のサーヴァントとは違いステータスが大幅に強化された存在。
だが、その代償に理性が失われると言うデメリットが存在する。

目の前にいるバーサーカーも例外ではないようで、先程から殺気が膨れ上がっている。

ねっとりとした粘着性の悪意が、セイバーの体に纏わりつく。
その兜から除く瞳は相変わらず殺気と怨嗟を存分に含んでセイバーを見ている。
今にでも殺すと言わんばかりに。

「……」

セイバーは不可視の剣を相手に突き付けるように構えた。
ガチャリと鎧が擦れる音がする。

「…er…」

バーサーカーの黒の兜の中から、低く地を這うような重い言葉が漏れた。
怨嗟を含んだかのようなまがまがしい声を発しながら、バーサーカーがゆらりと動く。

「…ar…er…!」

野獣のような勢いでバーサーカーが駆け出す。

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

不気味な気迫と共に、バーサーカーはその手に持った得物をセイバーに叩きつける。

「く……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

2人の英霊が周りの空気を破壊しながら、戦闘は開始された。

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