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第二十二話 狂戦士
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そう叫ぼうと彼に一歩近づこうとした瞬間……

「離れろ!!!!」

セイバーの怒号が響いた。

なに?
ロザリアはセイバーへと振り返る。
だが、その一瞬が彼女の命取りとなった。

轟という勢いと共に、ロザリアが前方、橋の向こう側まで吹き飛ばされる。

男が手にしていた両手剣が振り払われたのだ。
ロザリアには間一髪当たる事は無かったのだが、その風圧、勢いだけでロザリアを吹き飛ばした。

他の彼女の仲間である男達も勢いに負け、あらぬ方向へ吹き飛ばされる。

辛うじて、キリトはその場に踏みとどまる事が出来たが、立っている事が出来ずその場に這いつくばる。
シリカはセイバーに抑えられながらも、その場に残る事が出来た。

何事だ!?

全員が男が立っているであろうその場所へと視線を移す。
だが、そこには既に男の姿は無かった。

そこにいたのは影だった。

そう、まさに、“影”としか形容しようのない異形の風体である。

その長身で肩幅の広い“男”の総身は、一分の隙もなく甲冑に覆われていた。
が、セイバーの纏う白銀の鎧とは全く違う。
その男の鎧は黒かった。

精緻な装飾も無ければ磨き上げた色艶も無い。
闇のように、奈落のように、ただ底抜けに黒かった。
面貌すらも無骨な兜に覆われて見えない。
細く穿たれたスリットの奥に、熾火のように爛々と燃える双眸の不気味な輝きだけがある。

「あ……あいつは――――――」

キリトが辛うじて声を漏らした。
今まで見た事のない不吉な姿を目の当たりにして、体が硬直している。

まさか……。

現在、自分は聖杯戦争の参加者だ。
ならば、あの存在も自然と何であるかが分かってくる。

――――――――――サーヴァント。

人知を超える力を持った、絶対的な存在。
人である以上、絶対に敵う事は無い相手。

それは間違いない。
だが、それにしてもあの不吉な姿は何であろう。

キリトはこれまで数体のサーヴァント達と対峙してきた。

自らのサーヴァントである、セイバー。
サチのサーヴァントである、ランサー。
自分が腐っている時に出会った巨漢のサーヴァント、奴はおそらくライダー。
そして、ギルドの皆を殺したサーヴァント、アサシン。

彼らにも圧倒的な存在感と、それぞれの“華”があった。

だが、目の前にいるサーヴァントにはそれとはまた別の存在感がある。

強いて言うなら、アサシンに近いだろうか。
だがそれ以上の、今まで対峙してきたサーヴァント達には無い明確な負の波動が感じられた。

あのサーヴァントが何者なのかは判らない。
だが、こうやって対峙しているだけで判ることもある。

あのサーヴァントが発散しているこれは殺
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