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Fate/ONLINE
第二十二話 狂戦士
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「見つけた……遂に見つけたぞ」

今まで彼等を盗み見していた男は、ようやく戦果が手に入った事に歓喜していた。
街で彼等を見つけたときには、天の思召しだと本気で思った。
こんな最前線から離れた下層に、彼らが居る事自体珍しいのだから。

だからこそ、彼は自らの従者を奴らの仲間の中に潜り込ませた。
一人殺害し、そいつに化けさせる事によって。
幸い、そいつはあまりしゃべらない男だったらしく、疑われる事は無かった。

そして遂にチャンスが訪れた。

そう、疑いようもなく同じであった。
もはや間違いなく、あの黒い装備、あの蒼銀の鎧はキリト、そしてセイバーに他なるまい。

「はは、はははは」

憎悪を眼に血走らせて彼は笑いを漏らした。
この瞬間を夢見ていた。

自らのギルドのメンバー達を死に至らしめた張本人達。
憎んでも呪ってもなお足りぬ怨敵。

「殺せ……」

憎しみを込めてその言葉を吐いた。

今こそその恨みを晴らす。
胸に滾る憎悪を刃に変えて、彼等に挑む時がきた。

「殺すんだバーサーカー!奴らを殺し潰せッ!!」

彼の怨念染みた声を出して、発露させた。

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「お……おい、どうなってんだよコイツ……」

一人が異常なものを見るかのように顔を歪める。
腕を止めながら数歩下がる。
残りの七人も攻撃を中止し、距離を取る。

それもそうだ。
キリトのHPが全く減っていないのだから。

「……十秒あたり四〇〇ってとこか。それがあんたらが俺にダメージを与える総量だ。俺のレベルは78。HPは一四五〇〇……さらに戦闘字回復(バトルヒーリング)スキルによる自動回復が十秒で六〇〇ある。何時間攻撃しても俺は倒せないよ」

その言葉に男達は愕然としている。
その内、サブリーダーと思われる両手剣士が口を開いた

「そんなの……そんなのアリかよ……。ムチャクチャじゃねえかよ……」
「そうだ」

吐き捨てるようなキリトの言葉。

「たかが数字が増えるだけで、そこまで無茶な差がつくんだ。それがレベル制MMOの理不尽さというものなんだ!」

キリトの怒号のような声が辺りに響いた。
威圧されたかのように男達は後ずさる。

ロザリアも同様に悔しげな表情を浮かべながらも、逃げ出そうと思い転移結晶を取り出そうとした。
だが、突然ある事に気付く。

彼女たちの仲間の一人がその場にいない事に。
ギルドのメンバーはロザリアを含め十一人。
だが、この場には十人しかいない。

何故?

そうロザリアが思った瞬間、突如背後に何かの気配を感じた。
振り返ると、その姿が無かったメンバーの一人が立ち尽くしている。

なんで出てこなかった!!

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