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世紀末を越えて
プロローグ
エンカウント・ツー
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いうには多少現実味を帯びすぎていた。そこから朝、目覚めたという記憶さえも曖昧なものであった。確か僕はその人に、鍵を、彼女に届けるようにとお使いを頼まれたのであった。何故僕に託したのかは分からない。それに、鍵とはいったい何のことであろう。しかし一度僕はその件に関して承諾してしまっているのだ。これを覆す訳にはいかない。ふと、窓の外に黄金の鱗粉を纏う蝶が飛んでいるのが見えた、あの蝶は風に流されてしまわないようにその小さな羽を翻し、意図的に僕の視界に留まるようにしている気がした。完全に閉じている筈のその窓をすり抜け、僕の机の上に横たわるペンの上に止まった。僕の見間違いであろうか。或は今だに僕は昨晩の夢の続きでも見ているのだろうか。しかし紛れも無く今僕の目の前にいるものは黄金の蝶であった。今まで僕はこのような色の蝶を見たことがなかった。試しに、僕の隣に座る生徒にもこれが見えるかどうか、試しにそれとなく話しかけ、こちらに意識を向けさせてみたが、その何食わぬ様子から、やはりこの蝶が見えることはないようであった。蝶は授業中その体を休めるようにただ、僕の目の前に静かに佇むばかりであった。やがて授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、僕が席からはなれようとした時、この時を待っていたかのように再び蝶は僕の目の前を舞い始めた。
 そもそもこの学校に、生徒の数そのものが多い訳ではないとはいえ、それでも、此れと言って僕に友人と呼べるものがいる訳ではない。今回、友人曰く、用事がある故、途中まで帰り道が同じ方向となったそうである。僕自身、他人に対して、与太話に費やすような、これといった主張も無く、(正確な所、あるにはあるのだが、単純に発言の機会が無い)ともあれ、大概こうなると僕の都合は精々他人に相槌を打つ程度であるのだが。僕はそのことに対して他人がどう思っているかは知らない。
 学校はほぼ島の中心部に位置しているのであるが、それでも校門を出てすぐの、種編を幾分か見渡せる崖の上の道路からの景色の幾らかは綺麗に整備された田んぼの苗の色が映えていた。

「で、なんだっけ?、まあいいや。ところでお前って樋泉のどこがいいん?まあたしかにスタイルは抜群だよ?胸が大きい訳じゃないけど。顔も、まあいい方ではある。そこに個人の理想像的なフィルターをかけてみれば、そりゃ惚れることだってあるだろうけどさぁ…。」
「ん…どういうこと?」
「いやあのひと…なんていうか、八方無心って感じじゃん?」
「ああ、まあね、でも僕にとってはそこが一番好きなんだよ。」
「なんでって聞いてもどうせよぅ分からんこと言い出すんやろうからあえて聞かんけど?お前謎キャラが好きなん?」
「謎キャラ?」
「ほらあいつってさ、学校にはちゃんと毎日登校するくせに特に最近じゃほとんど授業に出ないじゃん?別にどこか具合が
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