暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
閑話1 〜追憶の日々【暁 Ver】
[5/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ベル3』までのデータ閲覽を許可する」

「ありがとうございます。……失礼します」

 あたしは教官室から退室した瞬間、拳で壁を殴りつけた。……ナカジマ候補生も、教官も。どうして、あたしがあんな()で見られなきゃいけないのだ。あたしは自分の()()の為に頑張ってるだけなのに……何が悪いのかわからない。あたしみたいな『凡人』は、どんな手を使ってでも強くならなくちゃいけないと言うのに。





 男はティアナ・ランスターが出て行ったドアを暫く見つめていたが、やがて視線を窓へと移した。

「……ティーダ。貴様の最大のミスは犯罪者を取り逃がした事でも、一人で先走った事でもない。妹を残して死んでしまった事だ。……戯けが」

 言葉の内容とは似つかない哀愁を含んだ音色は、誰にも聞き取られる事なく風と共に空へと消えていった。





 エリオもキャロも何とも言えない顔してる。仕方ないと言えば仕方ない。あの頃のあたしは、何一つ間違ってないと思っていた。……いや、違う。間違っていないと思い込もうとしていただけ。この二人の御陰でそれも……って、何それ。

 アスナの足下にいたのはでかい芋虫。アスナの手には、なにやら原始的なコントローラーのような物が握られていた。どうやら、おもちゃらしい。

「……モスラ。地球に生息する謎生物」

 あたしがフェイトさんの顔を見ると、ふるふると首を振る。また、お兄さんの嘘知識に騙されているらしかった。アスナがコントローラーを操作すると、でかい芋虫……モスラがあたしに向かって歩いてきた。……妙にリアルでちょっと気持ち悪い。

「……ティアナ。しゃがめ?」

 いやよ。……わかった、わかりました。あたしがしゃがむと、目の前で止まったモスラが首をきりきり持ち上げる。嫌な予感がすると同時に、あたしの顔へ勢いよく糸のようなものを吐きだした。なすがままに糸まみれになるあたしと、お腹を抱えて大笑いしているスバル。そして無言のアスナ。

 あたしは何も言わず無造作に顔から糸を引き剥がすと、アスナの顔を見た。

「……かわいいな?」

「うん、そうね。……二人とも、そこに正座」





「ねぇ、ランスターさん。桐生さんのこと調べてたって、ホント?」

 ナカジマ候補生から藪から棒にそんなことを言われた。あたしが何をしようと勝手だろうに。

「誰から聞いたの?」

「誰からだっていいよ。ホントなの?」

「本当だったらどうだってのよ。『レベル3』までだったから、たいした情報はなかったわ」

 実の所そうでもなかった。彼女のフルネームは『アスナ(Asuna)桐生(K)バークリー(Berkley)』。つまり()()バークリー
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ