閑話1 〜追憶の日々【暁 Ver】
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ベル3』までのデータ閲覽を許可する」
「ありがとうございます。……失礼します」
あたしは教官室から退室した瞬間、拳で壁を殴りつけた。……ナカジマ候補生も、教官も。どうして、あたしがあんな目で見られなきゃいけないのだ。あたしは自分の目標の為に頑張ってるだけなのに……何が悪いのかわからない。あたしみたいな『凡人』は、どんな手を使ってでも強くならなくちゃいけないと言うのに。
男はティアナ・ランスターが出て行ったドアを暫く見つめていたが、やがて視線を窓へと移した。
「……ティーダ。貴様の最大のミスは犯罪者を取り逃がした事でも、一人で先走った事でもない。妹を残して死んでしまった事だ。……戯けが」
言葉の内容とは似つかない哀愁を含んだ音色は、誰にも聞き取られる事なく風と共に空へと消えていった。
エリオもキャロも何とも言えない顔してる。仕方ないと言えば仕方ない。あの頃のあたしは、何一つ間違ってないと思っていた。……いや、違う。間違っていないと思い込もうとしていただけ。この二人の御陰でそれも……って、何それ。
アスナの足下にいたのはでかい芋虫。アスナの手には、なにやら原始的なコントローラーのような物が握られていた。どうやら、おもちゃらしい。
「……モスラ。地球に生息する謎生物」
あたしがフェイトさんの顔を見ると、ふるふると首を振る。また、お兄さんの嘘知識に騙されているらしかった。アスナがコントローラーを操作すると、でかい芋虫……モスラがあたしに向かって歩いてきた。……妙にリアルでちょっと気持ち悪い。
「……ティアナ。しゃがめ?」
いやよ。……わかった、わかりました。あたしがしゃがむと、目の前で止まったモスラが首をきりきり持ち上げる。嫌な予感がすると同時に、あたしの顔へ勢いよく糸のようなものを吐きだした。なすがままに糸まみれになるあたしと、お腹を抱えて大笑いしているスバル。そして無言のアスナ。
あたしは何も言わず無造作に顔から糸を引き剥がすと、アスナの顔を見た。
「……かわいいな?」
「うん、そうね。……二人とも、そこに正座」
「ねぇ、ランスターさん。桐生さんのこと調べてたって、ホント?」
ナカジマ候補生から藪から棒にそんなことを言われた。あたしが何をしようと勝手だろうに。
「誰から聞いたの?」
「誰からだっていいよ。ホントなの?」
「本当だったらどうだってのよ。『レベル3』までだったから、たいした情報はなかったわ」
実の所そうでもなかった。彼女のフルネームは『アスナ・桐生・バークリー』。つまりあのバークリー
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