第1部:学祭前
第4話『波紋』
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界の携帯から、聞き覚えのある着うたが流れてきた。
「うわ、KARAの『ミスター』の着うたじゃん! ナウいねえ。」
「へへへ……」
笑いながら世界は、メールを開いてみた。
「……桂さん……?」
「助かった。感謝するよ、泰介」
同じ頃、学校の食堂で伸びをしながら、誠は泰介に礼を言った。
「いいってことよ。それに、あれは一方的に向こうがくっついてきたような感じだったもんな」
「とはいえ、甘露寺の言う通り、拒めなかった俺も駄目だよな……絶対みんな誤解するだろうって、わかっていたのに」
カレーライスをほおばりながら、誠はぼやく。
「あまり嫌と言えないってことは、優しいってことだよな。 ま、顔がよくて、優しくて気前がよいとくれば、そりゃあ、モテるだろう。 にくいね!」
「やめてくれよ……おまけにもうクラス中で噂になっていて、かなわないんだから……。もう極悪プレイボーイのレッテル貼りされてるんだぜ……」
「ま、しょうがねえよ。人の口に戸は立てられないっていうし。
それにみんな、桜ケ丘と榊野のヘテロカップル第1号が楽しみだって、お前とあの平沢って子が第1号になるのではないかって、ワクワクしてるんだぜ?」
「ヘテロカップルってなあ…………」
逆に誠、あきれてしまった。
「実際、平沢さんとは、どこまでいってるんだい?」
「それは……」
浅い関係とはいえ、言い出しにくかった。それにこのお調子者、誰に口を滑らせるか。
「だーいじょうぶだ、俺はこう見えても口が堅いから、秘密は守るぜ。
別にいいんだよ。ぶっちゃけ、キスしたとか、セ……」
「だからそういう間柄じゃないんだって!! 一緒に下校したり、喫茶店でお茶したりするだけなんだってば。……あ」
思わずしゃべってしまう。
「……ま、向こうのほうが押しまくってたもんな」
泰介は肩をすくめた。浅い関係に多少残念そうな顔つきである。
誠はなぜか吹っ切れた気持ちになり、
「それにキスなり何なりしなくても、あの人がそばにいてくれるだけで、癒されるんだ」
窓の青い空を見て、続けた。
「そばにいて、笑ってくれるだけで、いいんだ…………」
唯が教室に入ると、何やら周りの噂話が急ににぎやかになった。
「……?」
どうしたんだろう。
最近皆、唯が教室に入ると、彼女を見てひそひそ何か話していることが多い。
そのなかで、律とムギ(澪は別のクラス)が、彼女を興味深げに見つめていた。
「お姉ちゃん」
声をするほうを振り向くと、入口に憂がいた。
「憂……」
唯は妹のそばに駆け寄る。
「実はお姉ちゃんがね、榊野学園の男の子……たしか、伊藤さんといったかな……付き合ってるっていう噂が、学校全体で噂になっちゃっているの」
「え、ど
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