星の咎編
鳳仙花の夜
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。
まだまだ暴れる4人を見て溜息をつき、足音1つ立てずに部屋を出て温泉へと向かっていった。
「あれ?」
「どうしたの、ルー」
「ロキだ」
ルーの指さした先には、倒れる男2人とロキがいた。
するっとルーシィから手を離し、ロキに向かって走っていく。
「ロキー!偶然だねっ!ロキも泊まりに来てるの?」
「ルー・・・と、ルーシィ!?」
その後ろにいたルーシィにぎょっとするロキ。
すぐさま近くの竹やぶの中に隠れた。
「ごめんなさい」
「何が!?」
「とりあえず落ち着いてよロキ。えーっと、君はこの男2人に奴隷として売られそうになって、やめろーって倒したって事でいいよね?」
「違うよ!?」
ルーの勝手すぎる解釈に思わずツッコむ。
「こいつ等は女性をくいものにしてるゴロツキの魔導士で、僕はこいつ等を捕らえる仕事の最中だったんだ」
「へぇー」
「何だ。てっきりロキが奴隷にされるのかと」
どこからそんな考えが浮かんでくるのか・・・まぁ、頭のネジの1本の代わりにシメジが刺さっているであろうルーの考える事は理解不能な事が多い。
「それじゃ!僕はこいつ等を届けなきゃいけないから失礼するよ」
早くこの場を離れたいといった感じで男2人を引き摺っていくロキに、ルーシィが声を掛ける。
「あのさ・・・この前は鍵を見つけてくれてありがとう」
「いや・・・気にしないで」
「ねぇ、よかったら少し付き合ってよ」
「え?」
ルーシィの言葉に明らかにロキは動揺する。
「こ、ここ・・この展開は!」
「ププ!」
「違うから」
目をハートにして期待するハッピーとプルーにルーシィは呆れたように言う。
「むぅ・・・」
ルーは1人不機嫌そうに頬を膨らませ、ロキを軽く睨んだ。
「はー・・・」
一方、部屋を抜け出し温泉に入っているティアはぐーっと腕を伸ばした。
先ほど濡れて厄介だった髪は高い位置でお団子に結び、近くの岩に頭を乗せる。
ひんやりと首元に冷たさが伝わってくる。
「・・・」
岩から頭を持ち上げ、露わになったうなじに手をやる。
ぎゅっと唇を噛みしめ、息を吐く。
夜空に映える金色の月を見て、少し顔を歪めた。
そして、無意識に口ずさんだ―――――――歌を。
「♪凍てつき色褪せた世界は
生まれた意味さえ失った
誰も近づけないこの世界で
全てを閉ざし孤独に生きていく」
酒処『超特急』。
暖簾には『せんせぇしょん。』と書かれ、提灯には『カロリーオフ』と書かれている。
建物はやぶれかぶれの、東洋を知らない西洋人が作ったようだった。
「・・・」
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