第2話:ハイジャック事件−2
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ダメだ。 少将が執務官を派遣してくれるらしいから
その執務官の同席下で実施する」
「了解です。 ではそれまでは待ちの一手ですか?」
ウェゲナーの問いにゲオルグは首を横に振って答える。
「いや。 そこまで悠長なことはしてられないだろう。
だから、明日になって執務官が到着するまでには奴らがどこの誰で、
どんな背景をもつ人物かを調べる。連中のDNAサンプルは?」
ゲオルグが尋ねると、今度はクリーグが答える。
「ここに移送してくる間に髪の毛を失敬しておきました。
既に遺伝情報の抜き取りは完了して、本局のデータベースの
検索をかけてます」
「いつ終わる?」
「あと2時間くらいですね」
「上出来だ。 なら、後の調査はその結果が出た後でいいだろう。
その辺は当直のファルコン分隊で担当してくれ。 いいな、ウェゲナー」
「え? あ、はい・・・了解です」
ウェゲナーは一瞬顔をしかめかけてから神妙な表情を作って頷いた。
これで、ファルコン分隊の徹夜作業が確定した。
「チンクとクリーグは今日の戦闘詳報を頼む。
明日の朝には戦闘報告書を提出するから、そのつもりで」
「了解した」
「了解です」
チンクとクリーグは口ぐちに答える。
「よし。 じゃあそういうことで」
ゲオルグは3人に背を向けて、部屋のドアを開けた。
「あぁ、そういえば・・・」
彼ら3人に言っておくべきことを思い出したゲオルグは、
開けかけたドアを手で支えながら3人の方を振り返る。
「それと、今日は5時で帰るから。 んじゃよろしく!」
にっこり笑ってそう言ったゲオルグは部屋を出てドアを閉めた。
部屋に残された3人は唖然として黙りこむ。
沈黙に包まれた部屋の中で、1人がその小さな身体に怒りのエネルギを貯めていた。
彼女は強く握りしめた両手を振るわせ始める。
あとの男2人は彼女の爆発に備えてそっと身構えた。
そして女性の拳の震えが一瞬止まり、直後怒声が部屋の中に鳴り響いた。
「なんなんだ、あいつはいつもいつも!!
人には仕事を押し付けておいて自分はサッサと帰るだとっ!!
ふざけるなぁあああああああ!!」
チンクは地団太を踏みながら叫ぶ。
その声は扉を貫き、通路にも鳴り響いた。
チンクの怒りはさておき、ゲオルグはひとり通路を歩いて部隊長室に戻っていた。
自分の席についたゲオルグは、端末を開いて事務仕事の準備を始める。
メールソフトを開いたところでゲオルグは時計に目をやった。
(3時半か・・・)
チンク達に向かって宣言した帰宅時刻まであと1時間半である。
(メール処理と戦闘報告書の下書き。あとは、
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