第2話:ハイジャック事件−2
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れは判りますが何十分も愚痴に突き合わせる僕の身にもなってくださいよ」
そう言って大きくため息をつくフォッケを見て、ゲオルグは更に大きな声で笑う。
ひとしきり笑った後、ゲオルグは真面目な顔をつくりフォッケに話しかける。
「で、チンクとクリーグはどこに?」
ゲオルグの問いに対してフォッケも真剣な表情で答える。
「地下です。 恐らくウェゲナー3尉もそちらに」
「わかった。 じゃあここは頼む。
多分俺に直接くるだろうけど、少将から連絡があったら俺に回してくれ」
「了解です。 お任せください」
最後にフォッケが頷くと、ゲオルグは指揮所から出て再び通路を歩く。
少し歩いたところで、警備の隊員が両脇を固める両開きのドアが現れた。
ゲオルグは2人の隊員に向かって少し崩した敬礼をして声をかけた。
「ご苦労さん。 通してくれ」
「はい。 お手数ですがIDを確認させていただきます」
「おぉ、そうだった。 すまん・・・」
ゲオルグは制服の胸ポケットをまさぐって自分のIDカードを取り出し、
警備の隊員に手渡す。
隊員はそれを丁重な手付きで受け取ると、腰にぶら下がっていた機械に
カードをかざす。
小さな電子音が数回鳴って、隊員はゲオルグにカードを返す。
「確認できました。 どうぞ、部隊長」
「ありがとう」
ゲオルグは重々しく開かれたドアの中に入る。
そこは地下に降りるためのエレベータになっていて、
ゲオルグは行き先のボタンを押すと壁にもたれかかった。
ぼんやりと向かい側の壁を見ていると10秒ほどでわずかな衝撃とともに
エレベータが停止しドアが開かれる。
そこには地上とはうって変わって、うす暗い通路が広がっていた。
ゲオルグはエレベータを降りると慣れた足取りで薄暗い通路を歩いて行く。
何度か曲がり角を曲がり、ゲオルグは1枚の扉の前にたどり着いた。
ドアを開けると中にいた3人の男女がゲオルグの方を振り返る。
「帰ったのか・・・。待っていたのだ」
3人の中一人、一番ドアに近いところに立っていたチンクは
そう言うと再び振り返って今度はゲオルグに背中を見せる。
ゲオルグはチンクの背中越しに、壁一面に備え付けられた巨大なモニタを見る。
モニタは10以上の画面に分割されており、それぞれに一人ずつの姿が映っていた。
あるものは床に寝転がり、あるものは座り込み、思い思いの体勢をしていた。
「どうなってる?」
ゲオルグが必要最低限の言葉で誰ともなく尋ねると、ファルコン分隊の分隊長である
ウェゲナーがゲオルグのほうを振り返った。
「本格的な取り調べはまだです。 拘置手続き用の写真を撮って、
人定質問をやっただけです」
「取り調べはまだ
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