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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第2話:ハイジャック事件−2
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 ヒントを得られたからです。
 我々だけではここまで理想的に事を運ぶことはできませんでしたよ」
 
ゲオルグはウォルフに向かってニカッと笑うと、さらに言葉をつなげる。

「それに、ターミナルビルの群衆の騒ぎを収拾する手際は、さすがに
 次元港警備部隊の手並みだと感心しましたよ。 参考になりました」

「それについては彼女の力に負うところが大ですね」

ウォルフがゲオルグの隣に座るエリーゼに目を向ける。

「姉ちゃんが?」

ゲオルグは驚きで目を丸くしながら、隣に座る姉の方を見る。
ゲオルグの表情を見たエリーゼは、不服そうな表情を浮かべた。

「なによ、文句でもあるわけ?」

鋭い目をゲオルグに向けるエリーゼ。
睨まれたゲオルグは、小刻みに首を横に振る。

「いや、全然!
 ただ、ちょっと意外だったから感心したんだよ」
 
「意外って?」

「姉ちゃんが何かを収める類の仕事に強いっていうイメージが
 なかったからさ」

「あんたねぇ・・・、私のことを腕っ節だけの乱暴者とでも思ってんの?」

「そんなこともないけどさ。 俺と話すときって姉ちゃんはあんまり我慢強い
 感じじゃないから・・・」

「それは・・・」

アンタが弟だからでしょうが、と続けようとしたエリーゼは向かい側に座る
ウォルフが彼女たちのやり取りを微笑ましげに眺めているのに気がついた。
エリーゼは真面目な表情をつくると、ウォルフに向かって頭を下げる。

「すいません。 私ばかり喋ってしまって・・・」

最後の方は消え入るような声で話すエリーゼに対し、
ウォルフはにこやかな表情を向ける。

「そんなことはどうでもいいが、仲のいい姉弟だなと思ってね」

そう言って笑顔のままゲオルグとエリーゼをかわるがわる見るウォルフに、
ゲオルグとエリーゼは気恥ずかしさで、揃ってうつむきがちになっていた。
その様子を見ていたウォルフが笑い声をあげる。

しばらくして、笑いを収めたウォルフが真剣な表情でゲオルグを見た。

「ところで、ひとつ訊きたいことがあるのですが・・・」

ウォルフの口調から雰囲気が変わったことを察し、ゲオルグはバッと顔をあげる。

「なんでしょう?」

「あの突入作戦でどのような戦術をとられたのか、差支えなければ教えて
 頂けませんか? どうも納得できないことが多いんですよ」

ソファの背もたれにその身を預けるようにのけぞりながら、
ウォルフはゲオルグに向かって疑問を投げる。

「納得できないこととは、たとえばなんですか?」

「いろいろありますが、最も気になるのは、乗っ取られた次元航行船の
 上空にいたAST−21が突然消えたことですね」

ウォルフは真っ
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