第2話:ハイジャック事件−2
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「じゃあ、姉ちゃんも世間話に参加するか?」
ゲオルグはそう言って彼の右側を指差す。
エリーゼがその指が指し示す方向に目を移すと、一枚の扉がそこにあった。
それはゲオルグの案内役であったエリーゼの目的地でもあった。
「いいの? 私も話を聞いちゃって」
「俺は別に。 姉ちゃんの上司がなんて言うかは判んないけどな」
ゲオルグはそう言って扉を叩いた。
中から"どうぞ"という返事が聞こえ、ゲオルグは扉を開ける。
エリーゼは一瞬躊躇したもののゲオルグの後に続いて部屋の中に入った。
警備司令の部屋はゲオルグが使っている部隊長室と同じくらいの大きさだった。
だが、その内装は大きく異なる。
絨毯が敷き詰められた部屋には窓がなく、レトロなデザインの大きな執務机が
正面に鎮座していた。
その手前には高そうな応接セットが置かれ、両脇は分厚い表紙の本で埋め尽くされた
本棚が壁を覆い隠していた。
そして何より違うのが正面奥の壁に掛けられた、歴代の次元港警備司令の
肖像画の数々だった。
その枚数は10枚を軽く超え、管理局発足以来の伝統ある部署であることを
感じさせる。
ゲオルグとエリーゼのシュミット姉弟は部屋に入り執務机の前に並んだ。
エリーゼが一歩前に出て姿勢を正し、ビシッと敬礼する。
「ウォルフ司令、シュミット2佐をお連れしました」
「ご苦労だった。下がっていい」
崩した形の敬礼で答礼したウォルフは、そう言ってエリーゼを退出させようとする。
だが、そこでゲオルグが一歩前に出た。
「差支えなければ、姉も同席させてはいただけませんか?」
ゲオルグがそう言うと、ウォルフは何度か瞬きをしてからゲオルグの顔を見る。
「私は構いませんが、そちらの方はよろしいので?」
「ええ、問題はありませんよ。 特に秘匿しなければならないことは
ありませんので。 少なくとも管理局の中では、ね」
「であれば問題はありませんね」
ウォルフはゲオルグに向かって小さく頷くと、机に手をついて立ち上がる。
「ではそちらへ」
ウォルフは手で応接セットを指し示すと、椅子から立ち上がる。
ゲオルグとエリーゼは隣り合って置かれた1人掛けソファに座る。
机を回り込んで応接セットの方へ歩いてきたウォルフは、
ゲオルグとエリーゼが座る向かい側に腰を下ろした。
「シュミット2佐、今日はありがとうございました。
おかげで迅速に事態を収拾できましたよ」
ウォルフが頭を下げてそう言うと、ゲオルグは顔の前で手をひらひらと振る。
「いえいえ、迅速に部隊を展開できたのはそちらのご協力のおかげですし、
効率よく作戦を遂行できたのはそちらが先に実行された作戦の映像から
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