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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第2話:ハイジャック事件−2
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さっきのはナシ!謝るからちょっと落ち着けって!」

慌てたゲオルグが勢いよく頭を下げると、それを予想していなかったエリーゼは
一瞬呆気にとられる。

(今だっ!)

絶句したエリーゼが自失状態から回復するわずかな時間を狙って、
ゲオルグは口を開いた。

「本当にゴメン。俺はただ、姉弟で敬語を使うような関係は嫌だと
 思っただけなんだよ。 姉ちゃんとはいつまでも仲のいい姉弟でいたいんだって」

ゲオルグが早口でまくしたてるように言うと、エリーゼは怒気をそがれたようで
表情にも落ちつきが戻っていた。

「それは私もそう思うけど・・・」

「だろ? だから今後は俺らの間で敬語はなしってことで」

「うん、そうだね。 あと、叩いちゃってごめんね、ゲオルグ」

「別にいいって、大したことじゃないから」

ゲオルグはそう言ってニコッと笑う。

「そう? ありがとね、ゲオルグ」

つられるようにエリーゼも笑顔を見せた。
そして、姉弟で並んで廊下を歩く。

(ふぅ・・・やれやれ。 鎮圧完了・・・っと)

ゲオルグは安堵から小さくため息をついた。
そして隣を歩く姉の方に目を向けて話しかける。

「なんで階級なんか急に気にしだしたんだよ。今まで気にしたことなかったよな?」

「だって、仕事場であんたに会うのって初めてだったんだもん」

ゲオルグの問いにエリーゼは頬を膨らませて答える。
その表情はまもなく30歳を迎えようとする女性の顔には見えなかった。
もっとも、眠らされていた8年間に肉体も精神も年齢を重ねていないので
当然といえば当然なのだが。

「そうだっけ?」

ゲオルグは自分の記憶を探るように首をひねる。
だが、思い当たるところがなく小さく首を振った。

「そうなんだってば! だから、あんたの威厳を傷つけないようにと思って
 気を使ったのに・・・」

「俺、そういうの全然気にしてないから」

「少しは気にしなさいって。あんたは管理局の精鋭陸戦部隊を率いてるんだから。
 わたしの部下の中にもあんたのことを尊敬してるって子、結構いるし」

「そんなの知るかよ」

(まったく、ゲオルグは・・・)

肩をすくめて言うゲオルグをエリーゼは苦笑しながら見ていた。

(あ、そういえば・・・)

彼に尋ねたいことがあることを思い出したエリーゼは、
真剣な表情を作りゲオルグに話しかける。

「ところでさ、降下を始めた後に、突然AST−21とアンタんとこの人達が
 消えたのはどういうことだったの?」

「姉ちゃん、見てたのか?」

「うん。ターミナルビルの窓越しだけどね」

ゲオルグは腕組みして少し考えると、エリーゼの方に向き直った。


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