第2話:ハイジャック事件−2
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装置が確実に稼働し始めたことを確認したゲオルグは、
そこで初めて端末の通信ウィンドウを開いた。
ゲオルグの目の前に開いたウィンドウには、30歳くらいの
男の顔が映っていた。
通信がつながるや否や、男はゲオルグに向かって話し始める。
「どうも、部隊長」
「いつもご苦労だな、ルッツ2尉。 こうして顔を見るのは1週間ぶりか」
「そうですね」
ルッツと呼ばれた男はゲオルグの言葉に頷き、相槌をうつ。
この男こそ、フォッケの言っていた"シャドウ02"その人である。
余談ではあるが、特殊陸戦部隊の部隊コールサインは"シャドウ"である。
つまり、部隊長であるゲオルグのコールサインは"シャドウ01"となる。
すなわち、シャドウ02というコールサインを持つルッツは、
所属上は特殊陸戦部隊の本部要員となっている。
「それで、今日は何の用だ?」
「今朝の乗っ取り事件について少し情報を得たので報告を」
表情を変えずに言うルッツに、ゲオルグはスンと鼻を鳴らして応じる。
実際のところ、ルッツはほとんど隊舎に居ることはない。
どころか、ほとんどの部隊員は彼が部隊に所属することすら知らない。
彼を知るのはゲオルグとフォッケ、そして3名の分隊長くらいのものである。
いわば幽霊部隊員のような立場にある。
この立ち位置は部隊長たるゲオルグによって意図的に与えられた。
過去情報部に所属し、情報を積極的に得ることの重要性と
その行為の困難さを知りつくしていると言っていいゲオルグが
情報収集を専門とする分隊を構想したものである。
そして部隊設立時に、同じく情報部に所属した経験があり、
彼自身の個人的な知り合いでもあるルッツに声をかけスカウトしたのだった。
始めはルッツひとりだったために、仮の処置としてゲオルグの直属という
立場を与えられたのだが、メンバーがひとりまたひとりと増えていく間に
それが既成事実化してしまい、現在このような扱いとなった。
今や、ルッツは"シャドウ分隊"の分隊長のような立ち位置となっている。
「どんな情報だ?」
ゲオルグが尋ねるとルッツは画面の向こうでニヤッと笑う。
「部隊長が過ぎた玩具を抱えた坊やたちと遊んでいらっしゃったときから
30分ほど前の次元港近辺の衛星画像です」
「なに・・・?」
ルッツの言葉にゲオルグは怪訝な表情を見せる。
「お前がこうして連絡してくるからには、何か面白いものでも映ってたんだろ?
何が映ってたんだ?」
「まあそう焦らないでください。まずは画像を見てくださいよ」
画面の向こうでルッツが端末を操作すると、ゲオルグの端末にメールが届いた。
ゲオルグはメールを開いて画像を見る。
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