新しいようで新しくない使い古した日常。 「黄」
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みんな嘘つきだ。
1月下旬。
リンの葬式から1ヶ月とちょっと。
葬式ではあんなに泣いてた親族たちは、正月になった途端に
今年も新年を迎えまして、めでたいめでたいとはしゃぎだす。
そして笑って僕にお年玉を渡すんだ。
後ろの方で、「出費が減った」と喜びながら。
どこがめでたい?
新年を迎えられなかった者もいるのに!
正月の三が日がやけに長くて、不快だった。
そして、新学期が始まって、リンは確かに僕と同じ教室に
居たはずなのに、机はなくなっていて。
リンと仲が良かったはずの女子達はまるで初めから「鏡音リン」
なんて人間いなかったみたいに笑いあっている。
葬式に顔を出していたときは泣きじゃくっていたくせに。
結局は、みんな嘘つきなんだ。
でも、と僕は考える。
海斗や樂なら。
もしかしたら分かってくれるかもしれない?
リンの「事故」以来、バンドは一度もしていない。
僕はその日の放課後、いつも使っているスタジオに行ってみることにした。
海斗や樂なら分かってくれると、そう信じながら。
なぜそう思った? 僕と彼らのリンに対する想いが、同じだとは限らないのに。
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