暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティア
一部【スサノオ】
六章【遭遇】
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


「君は頭が固すぎるんだよ…このネイティブエネミー達の学習能力は驚異的なものだ。ましてや、今回侵入してきたのはヒトガタだろう?なら、ナノマシンを扱える可能性は『あり得る』…そうだろう?」

ウォルターの言葉の意味を理解したのか、Gの頬を一滴の汗が流れる。

「君のその嫌な考えの通りさ。進化しているんだよG。もう僕らには手に負えなくなる時が近づいてきているんだ…」

「なら、お前が研究していたのは…」

「そうさ、ヒトガタの『進化記録』だよ。取り返しのつかない事になる前に、彼らを完全に上回る何かが必要なのさ」

すると、ポケットから一枚のチップをだし、手渡すウォルター。

「必ず、一人で見てくれるかい?他の職員に見られると困るものだからね」

手渡されたチップを見つめながら、Gは重々しく口を開く。

「あぁ。…だが、お前の御託を聞かされた程度で俺はお前への疑いを解かんぞ」

「はいはい、わかったよ。まったく…まぁ、君にもいつか僕の行動の意味が分かるさ」

もう出て行ってくれ、とウォルターはGへと背を向け解析を再開する。

「最後に一つ…」

「なんだい?」

「零…零司という人間に聞き覚えは?」

「あぁ、今日僕が担当した青年だね!彼はどこまで行けるだろうねぇ」

もくもくと解析をしながらも零の話題にウォルターの声が弾む。

「なぜ、アイツに何も教えなかった?」

一瞬の間。
ウォルターは振り向きもせず静かに答えた。

「すまないね、ウッカリしていたんだよ」

「そうか」

邪魔したな、と部屋を出るG。
それを確認すると、ウォルターは再び解析の手を止める。

「零くん…か。またフロンティアが楽しくなるねぇ」

ニィ、と歪むウォルターの口元。
その笑みは狂気に満ちたものだった…。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ