一部【スサノオ】
六章【遭遇】
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ウォルターは掴んでいたGの手を振り払い、乱れたタキシードを整える。
「知らないとでも思っているのか?お前…フロンティア4の研究室へ頻繁にヒトガタのコアを運び込んでるそうだな。その目的は?お前がこの計画の責任者になってから次々不可解なことが起こってるんだよ!」
「ふんふん、不可解な事…それは興味深いね。しかし、それは君の僕への偏見による思い過ごしだ」
「これを見ても同じ事が言えるのか…」
Gが腕輪を操作すると、腕輪から大画面の電子パネルが現れる。
そこにはギッシリと名前が書きこまれていた。
「このユーザー達を覚えているか?」
「さてさて?悪いが覚えがないね…僕がどれだけの人間と関わりがあるか知っているかい?そんなユーザー達の名前なんて覚えてられないね」
と、ヒトガタへと歩み寄り解析を始めるウォルター。
「これは全員、お前が担当したユーザーだ。しかも、全て『失踪』したなッ!」
Gの怒鳴り声にウォルターの解析の手が止まる。
「君は僕のことを色眼鏡で見すぎなんだよ。このゲームで失踪者が出るなんて不思議な話じゃないだろう?リアルで素性が知れて、報酬金がらみで殺されるもの…はたまた『共鳴種』に殺されたもの。全て失踪者扱いだ…担当ユーザーをピックアップすれば君にだって同じくらい関わりのある失踪者がいるはずさ」
「ならばヒトガタのコアがお前の施設に集められている理由は!?このヒトガタはただのヒトガタじゃない…能力も知能も他のとは比較にならねぇ。何を研究してる?お前がこいつを創ったんじゃないのか!?」
やれやれ、とGへと向き直るウォルター。
「まったく論理性に欠けるね。君が言っていることは全部憶測だよ。僕を犯人とするのも、このヒトガタが僕に作られたというその根拠は何もない」
そういって笑って見せるウォルターをGは凄まじい形相で睨みつける。
「そうだな…だが、こいつを誰かが侵入させたのは間違いない」
「へぇ、それには何か根拠があるのかい?」
ウォルターに問われ、天井を指さすG。
「鳴らなかったんだよ。警報装置がな…『あの』ナビがこのフロンティア1の中にある訓練施設に入り、かつ他のユーザーを強制ログアウトさせるまで…ナビはこいつを感知しなかった。…ありえないんだよ、『このナビのシステムを知り尽くした誰か』が手引きしない限りはな」
「なるほどなるほど…それならばまだ僕が疑われる理由も納得できるよ。ただ、このヒトガタが『ナノマシンを扱える』ようになっていたとしたら?もし、そのナノマシンの機能をフルに引き出せて僕たちがやっているログインログアウトの要領で好きな所へワープできたとしたら?」
ウォルターの言葉にGは目を見開く。
「そんな事があり得るものか…っ
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