一部【スサノオ】
六章【遭遇】
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手前で何か思い止まったかのようにその足を止める。
「ちなみに、お前の担当は誰だ?」
「え?…あぁ、確か穐山哲二って人ですよ」
穐山哲二の名前を聞くとGが振りかえる。
その表情は険しく、零はその顔つきに萎縮し、少し後ずさった。
「哲二…か。お前、奴には気を付けるんだな」
「…え?」
それ以上は何も言わず、今度こそゲートの奥へとGは消えていく。
「いったいなんなんだよ…」
一人残された零はGの言葉の意味を考えながらも、静かにアーカイブを開いた。
そう、念願のログアウトをするために。
※
長く一直線に続く通路を歩くG。
そこは、フロンティア1の研究施設へと続く道。
通り過ぎる職員はみなGへと振り返る。
それもそうだろう。
彼が担ぐのはヒトガタ…このフロンティア1では到底目にできないネイティブエネミーなのだから。
しばらく歩くと、Gはとある部屋へとたどり着いた。
『NE(Native Enemy)特殊研究室』
Gが扉の脇に設置された指紋照合を済ませると、左右へとその扉が開く。
室内には人影が一つ。
その人物はGに気が付き振り向いた。
「やぁやぁ、珍しいねG!こんなところへなんの用事…って、その肩に背負ってるのはッ!?」
興奮し駆け寄る男。
シルクハットをかぶり、黒いタキシードを着たガタイの良いその体に似合わない陽気な口調。
目につけたバイザーがキュインキュインと機械的な音を奏でる。
「今日、ウチの模擬戦闘エリアに侵入してきたヒトガタだ」
男を押しのけると、Gは設置されていた解剖台の上へとぞんざいに乗せる。
「こらこらこら!何するんだよG!これは貴重なネイティブの…しかも希少なヒトガタのサンプルだよ!!そんな雑な扱いされちゃいくら僕でも怒るよッ!!!大体君は昔からそうだ、僕の大事にしている玩具を乱暴に扱って壊したり、僕が初めて買った大切な車を事故でおしゃかにしてくれたり!もっと君は……」
Gをすごい勢いで捲し立てる男。
そんな男へとゆっくり振り向くと、Gは男の胸倉を掴み壁へと押し付ける。
「おやおや。穏やかじゃないねぇ…」
薄ら笑いを浮かべ、男はGを見る。
「何するんだ、はコッチのセリフだ…『哲二』ッ!こいつをエリアに送り込んだのはお前じゃないのかッ!」
「おいおい、駄目だよG。ここではこの世界の名前で呼び合うのがルールだろ?僕のことは『ウォルター博士』と呼んでくれよ」
「ふざけるなッ!」
さらに強く哲二…もといウォルターを壁へと押し付けるG。
「俺の質問に答えろ!」
「その質問に関して僕の答えはNoだ。第一、そんな事をして僕に何のメリットがあるっていうんだ?」
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