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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第177話】
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せた。


「これって……確か、今月出来たばかりのウォーターワールドの前売り券じゃない」

「あぁ、今日友達に会ったときに貰ったんだよ。 でもよくよく考えると五枚も貰っても余るからな。 セシリアは帰国……てか帰省してるし、美冬も今家に戻って大掃除中だしな」


 終業式が終わった次の日に、セシリアが帰省したのだが……セシリア的には帰省せず、日本に滞在したままでいようと思っていたらしい。

 でも流石にそこは説得し、向こうの友達やら墓参りやらしてこいと俺が言うと、名残惜しそうに返事をしたのが印象に残っていた。

 ……何だかんだでほぼ毎日セシリアと居たから、寂しくないと言えば嘘になるが……直に会えると思えば。

 そんな風にセシリアの事を思い出してると、渡されたチケットを見ながら鈴音がもじもじとしつつ――。


「だ、だからって、何であたしにくれるの……? そ、それも二枚も……。 ……も、もしかしてさ、アンタ……あ、あたしをデートに……誘ってる……の?」

「へ?」



 鈴音の突拍子の無い言葉に、俺は気の抜けた声で返事が出た。

 ……何処をどう勘違いしたらデートに誘ってる様に見えたのだろうか?

 ……しかし、今の鈴音は普段のギャップ差で可愛く見えるのは何故だろうか?


「い、いや……俺が鈴音をデートに誘っても、お前断るだろ? 一夏の事、好きなの知ってるし」

「……そ、そうね。 も、勿論アンタが誘ったとしても……こ、断る……わよ……」

「……?」


 最後の方は歯切れが悪く、言い終わるや前の未来よろしく、頭をわしゃわしゃとかきむしっていた。


「……何にしても、そのチケット使ってさ。 一夏を誘えよ? ……たまには鈴音からアプローチしないとな? あいつ、お前の事も幼なじみって言ってる割には全然構わないし」

「……わかった。 ヒルト、ありがとね? ……ね、ねぇ?」

「ん?」

「と、当日さ。 ……もし、もしだけど……アイツが来ない時はアンタに合流しても……いぃ……?」


 遠慮がちにそう告げる鈴音は、まるで弱々しい小動物の様な印象を受けた。


「……あぁ、勿論構わないぞ? 遠慮なく合流しな」

「そ、そうね。 ……じゃあ、明日一夏を誘ってみる。 ヒルト、ありがとね? いつも気を使ってくれてさ。 ……でも、あんまりアタシに優しくしてるとさ……か、勘違いしちゃうからねッ!!」


 最後の言葉が大声で駅周辺に響き渡り、ハッとした表情になるや一気に顔が真っ赤に染まり、脱兎の如く寮への道を走って鈴音が去っていった。


「……勘違いって、何を勘違いするんだ?」


 鈴音が言っていた勘違いの意味がわからず、首を捻る。


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