第七十二話 揺らめく情勢
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な相手に従うなど、危険すぎるぞ!」
「それは反対するにしても同じではないかね?」
氏族や役人の多くは賛成や反対に熱く議論を交わす。時間が多くあるならいくらでもやってもらって構わないのだが、今はそんな猶予はない。ユウナは一つ咳払いをし、発言する。
「みなさんのご意見は理解しています。ですがここは一旦静粛に――――デスティニープランへの対応は賛成にせよ反対にせよ、様々なメリット、デメリットが存在しているはずです。そこで、各々の代表的な意見を参考にこの議会で多数決を取りたいと思っております」
ユウナのその言葉に益々騒然とする。代表や上位の氏族によってこれまで政治は取りまとめられてきた。かつてのオーブの獅子であるウズミならばきっと一人で決めたことだろう。しかし、現在国を立て直しているユウナやウナトにはウズミやカガリ程のカリスマはなく、自ら決めたのでは下手すれば内乱が発生してもおかしくない。
「し、しかし……我々も参加して良いのでしょうか?これはオーブのこれまでの政治体系を大きく覆すことになってしまいますよ……」
「だが、僕らがこのデスティニープランに対する批評を行っても、国全体の信頼が低い今の状態では儘ならない。それならば一同を介してどう対応するかを話し合った方が建設的だ」
一度例外というものを認めてしまえば、以後例外というものは繰り返されてしまう。そうならないようにするのが優秀な政治家の仕事だが、ユウナは自分の実力というものをきちんと測れていた。この会議はさながら江戸時代の幕末に徳川家が黒船への対応をどうするべきか各藩に尋ねた時の様子と似ている。
最終的な決定権は上位の氏族に与えられているが、この議会における意見は大いに参考になるはずだ。そのような思いを持って議会を推し進める。
「我々軍部としてはデスティニープランに対する意見は反対を取らせていただきたい。そもそも意思決定のない職業選択によって平和が得られるとは思えないのです。軍において士気の差が戦況を分けるように自らの望む職や生活によって得られるものもあるはずです。なら遺伝子によって決まるなど不可能に近い事だと」
軍部の上層部の一人であるトダカ准将を中心に軍部はそう意見を言う。周りの軍人の内、陸軍を除いた人はほぼ全員同意見なのか首を縦に振るだけで否定しようとする様子はない。陸軍の方も海軍出の将官であるトダカの意見に対して肯定しないというだけで否定という事もないようだ。
「モルゲンレーテとしての意見は賛成だ。確かにそういった危険性は孕んでいるが大局の情勢は既にザフト優位になっている。機を見誤れば何もかも失うことになってしまう」
そうやって互いの意見が交わされ、オーブの今後が決まっていく事となった。
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